Home研究テーマ藻類の共生

グリーンヒドラから単離した共生藻の研究

淡水産刺胞動物グリーンヒドラ Hydra viridissma は、細胞内にクロレラ様藻類 ( 形態的に Chlorella vulgaris といわれる ) を共生させており、宿主と共生藻を分離できることから、古くから共生の研究に用いられてきました(図1)。本研究では、グリーンヒドラから分離した共生藻の完全な単離と生理的特徴を明らかにすることを目的にしています。


図1 グリーンヒドラ(左)と、ヒドラ消化細胞内の共生藻(中・右)

グリーンヒドラから分離した共生藻を液体培地と寒天培地に交互に 4 ヶ月間無菌的に植え継ぐことで、栄養分が豊富なペプトン添加の寒天培地にまいても細菌が生えない共生藻を単離することができました。単離した共生藻を、硝酸イオン (NO3-) あるいはアンモニウムイオン (NH4+) を窒素源に用いた有機培地で培養すると、NO3-を用いた時には共生藻は 30 日間の培養でもほとんど成長しませんでしたが、 NH4+を用いた時には、約 30 日間で定常状態に達しました(図2)。


図2 共生藻の成長曲線

このことから共生藻は窒素源として NO3-は利用できないが、 NH4+を利用できることが分かり、グリーンヒドラの共生藻はNO3- からNH4+へと還元する 2 つの酵素の一方あるいは両方が欠けていることが考えられました ( 図 3) 。また、窒素源として 9 種のアミノ酸を用いた時、 Gly 、 Ala 、 Ser 、 Arg では細胞の増殖が見られましたが、 Asp 、 Glu 、 Asn 、 Gln 、 His では増殖しませんでした。

ページトップへ

田村研究室 CONTENTS

Copyright (C) 田村研究室 Rights Reserved.