福岡女子大学
福岡女子大学 地域連携センター
地域連携センター 女性生涯学習研究部門 産学官地域連携 地域交流部門
研究者データベース
英語版へ
研究者詳細情報
国際文理学部 国際教養学科
研究者一覧へ戻る
Pathmasiri JAYASENA
准教授

Pathmasiri JAYASENA

パスマシリ ジャヤセーナ

略歴

学歴
平成09年04月 スリ・ジャヤワルダナプラ大学 人文学部社会学科 卒業(BA Hons in sociology with second class upper division)
平成15年03月 広島修道大学大学院国際政治学研究科修士課程修了(国際政治学 MA in International Politics)
平成19年12月 英国ブラッドフォード大学平和学研究科平和学専攻修士課程修了(MA in Peace Studies with merit pass)
平成21年03月 広島市立大学大学院国際学研究科博士後期課程修了 博士(学術)

職歴
平成15年04月 NPO法人サマーディ基金 プロジェクト マネージャー(平成16年3月まで)
平成21年04月 広島市立大学国際学研究科 特別研究員(平成23年3月まで)
平成22年04月 広島都市学園大学 講師(異文化理解「英語と日本語による講義」担当)(平成23年3月まで)
平成23年08月 ペラデニヤ大学人文学研究科講師(国際開発論担当)夏期集中講義(現在にに至る)
平成23年04月 福岡女子大学国際文理学部国際教養学科准教授「国際協力論、平和と安全保障、グローバル社会と人の移動」他担当(現在に至る)
平成23年10月 福岡女子大学WJCプログラム 講師【英語による講義担当】(現在に至る)
平成27年04月 福岡女子大学社会人学び直し大学院プログラム 講師(現在に至る)

取得学位

博士(Ph.D)

研究テーマ

Ⅰアジアの国際関係と安全保障 Ⅱ戦争の原因と予防 Ⅲ台頭国と国際秩序の変革:中国とインドを中心に

研究概要

研究分野

 国際関係という分野は、社会学や経済学などに比べると、ゆるやかな学問体系だろうと思います。中心となる分野としては、国際関係の全体を把握しようとする論理研究があります。そのほかに、現状分析としては、安全保障、地域研究、対外政策決定論等が挙げられます。私自身の領域は、批判的安全保障学のアプローチを用いるもので、平和的手段による国際安全保障の方法ないし平和研究といえます。安全保障という分野では、主に国家安全保障を中心とする伝統的な安全保障問題を扱われてきましたが、国際的相互依存が深まり、大規模紛争の蓋然性が低くなる一方で、非伝統的安全保障問題の重要性が高まっています。しかし、伝統的安全保障問題の理解なしに、非伝統的安全保障問題は語れません。私の場合ですと、伝統的及び非伝統的安全保障問題双方の理解を深めながら批判的安全保障の視点からアジア地域(特に南アジア)を中心に安全保障問題を分析しています。
 私が大学に入学した1991年頃、ソ連が崩壊し、冷戦の終焉という歴史的な事件がありました。あっけなく冷戦が終わろうなどとは、だれも予想していなかったと思います。そのほか湾岸戦争も衝撃的でした。ちょうどそのころ、私自身が内戦を経験し、家族は国内難民(IDP)になりました。いまにして思えば、そうした諸事件に刺激され、自然と国際安全保障分野に関心を抱くようになったのだと思います。もっとも、研究者をめざし始めた頃には、そうした国際変革の背景にある構造に研究の焦点を移しました。かつて支配的だったイデオロギー的なものがなくなった一方で、現在、世界では新興国の目覚ましい経済発展等による多極化の進行、国境を越えた短時間の移動.情報伝達手段の発達や貿易.投資の拡大などによるグローバル化が急激に進展するなど、まさに変革の時代を迎えています。そのような中、私たちは地球の持続可能性と人類の生存(平和安全保障)にかかわる様々な課題にも直面しています。変革時代のこうした課題を克服するためには、伝統的な安全保障の枠を超えた方法が必要になると思います。そこで、市民社会の役割はますます重要になっていると言えます。

大学院での研究

 私の出身国であるスリランカにおける深刻な民族問題の解決に役立つことを志して研究を続けてきました。博士課程では、紛争解決論や市民社会論などに関する詳細な研究を続ける一方、日本社会の伝統や戦争経験の中に解決の糸口を探す努力も行うなど、スリランカの問題を様々な角度から理論的、実証的に分析してきました。その間、スリランカで現地調査を行う一方で、英国のブラッドフォード大学に留学して批判的安全保障の分野を中心とした理論研究をさらに深め、博士論文の理論的枠組みの構築と資料調査を着々と進めました。そうした私の研究をまとめた博士論文:「紛争解決における市民社会の果たす役割について―スリランカの事例から―」です。興味がある方は手に取ってみてください。
 私の博士論文の特徴は、スリランカ紛争における市民社会組織の役割への注目とそうした市民社会組織の活動に対する分析視点にあります。私はエドワード.アザールの「長期化した社会紛争 (protracted social conflict) 」 理論を用いて、スリランカの事例を紛争の一般理論の中に位置づけ、その解決に向けての市民社会組織の役割に注目し、スリランカ紛争にかかわる各種の市民社会組織の活動を詳細なフィールドワークに基づいて分析しています。分析の中で私は、スリランカ紛争にかかわる市民社会組織を、地元に根付いた草の根レベルの活動を中心とする 「有機体 (organic) 」 組織と、地元にルーツを持たず、トランスナショナルな活動を主とする 「非有機体 (nonorganic) 」 組織という二つに分類しています。 後者は、従来の紛争解決論において注目されてきたものの、スリランカの事例では効果的な紛争解決に必ずしも貢献できず、逆に紛争の悪化をもたらしてきた場合も指摘しています。 一方の「有機的」組織に関して、私は、草の根レベルで実際に重要な役割を演じてきたにもかかわらず、平和プロセス自体にこれまで有効に組み込まれてこなかった点を明らかにし、スリランカ紛争の解決のためには、有機体組織の強化と平和プロセスへの積極的関与を推し進めることが重要であると結論しています。

現在取り組んでいる研究

研究課題名:インド洋圏における日中印の多国間戦略に関する研究―新たな秩序の形成―

研究の背景

 インドは新興大国としての地位を固めてきているが、他方で、自国の裏庭とも言えるインド洋圏においては、指導国としての地位を固めるのに苦労しています。インドの外相は「急速な経済発展を背景に、世界で重要な役割を果たすためにも、インド洋地域国の安定に苦慮することになりそうだ」と述べています。インド洋圏の情勢を複雑にしているのは、中国がこの地域で影響力を拡大させているからだと言えます。さらにインド洋地域国側も、この地域で支配的な立場にいるインドに対抗するために、中国の勢力を引き込もうとする傾向にあります。中国はパキスタンとの長期にわたる友好関係を軸に、スリランカ、ミャンマーやバングラデシュとの関係強化を図るなど、インド洋小中国との関係を徐々に深めています。パキスタンやスリランカ、ミャンマーなどでは、中国は港湾建設などのインフラ整備でも協力し、インド洋圏進出の足がかりを作っています(Kaplan、2010)。こうした状況がインドの安全保障にとって脅威であるとインドはみています。このインドと中国の動きは、日本のアジア外交にも影響を及ばしています。インドと中国の国際社会へのプレゼンスを考える場合に、インドを含むインド洋圏および「アジア圏の大国」である日本と中国を中心とした包括的な国際関係の視角から取り組むことは極めて重要な研究課題です。
 これからのアジア圏は、新興大国中国、インドおよび日本と言う3大国が、各分野で争うような時代になっていくと予想されます。インドにとっては中国とどう付き合っていくかが外交上の重要なテーマとなっていくだろうし、インドとの友好的な政治経済関係を考える日本にとっても、インドと中国とのバランスは大切になってきます。一方でこうした中国のインド洋小中国への接近は、インドに中国への警戒心を深めさせることになり、これはインドと日本の関係を深めることにもつながります。このことは、日本のインド友好関係向上にとっては追い風になると言えます。こうしたインド、中国およびインド洋圏情勢をいかにとらえればいいのであろうかという問題関心から、本研究を計画することにしました。


研究の目的

 本研究は成長を続けるインドをはじめとしたインド洋圏とアジアの大国である日本と中国の多国間戦略に関する体系的な分析を行うものです。インド洋圏はインド、中国、日本にとって経済的にも軍事的にも重要でありますが、中国がこの地域で影響力を拡大させていることによってインド洋圏の情勢は複雑化しています。さらにインド洋圏の小中国も、この地域で支配的な立場にいるインドに対抗するために、中国の勢力を引き込もうとする傾向にあります。インド洋圏小中大国の関係構造というと南アジアを中心に研究が展開されがちですが、本研究は、インド洋圏だけにとどまらず、アジア圏の大国である中国と日本も「アジア圏の大国」として位置づけ、包括的な国際関係の視角から取り組む研究です。

研究の方法

 国内外での調査・分析、海外の研究者との情報交換(ワークショップ)、研究成果の口頭報告、学会発表や論文などによる研究成果の公表を基軸に本研究を5年間かけて行う予定にしています。本研究を進めていくうえで、5年間を通して以下の研究テーマに分断して行います。
① 南アジアとインドの関係構造と安全保障戦略の分析。
② インドの対中国戦略の分析。南アジアと中国の関係構造。南アジアの対インド戦略の分析。
③ インドのエネルギー政策およびインド洋地域・国の安全保障・外交戦略の分析。
④ インドの対日本政策・戦略の分析。日本・中国とインドの関係構造。


学生へのメッセージ

 大学では、自ら問題を発見し、それを理解し、自分なりに考えて答えを見つけ出す能力が求められます。むしろ、ひたすら暗記して試験で答えるということでは駄目です。主体的に学ぶと言う姿勢が大切です。その際に必要な知識の幅や思考力は、読書の習慣と好奇心の強さと大きく関わっていると、私は思います。大学生の皆さんも読書の習慣付けと多文化や他人に興味を持つと言うことに心がけてほしいです。それは、すでに確立された知識に疑問をもち、批判的に思考し検証することが出来るようになったりするからです。
 また、ゼミの皆さんに、4つのことをお話しすることがあります。その4つとは、幅広い基礎知識を得ること、自分をしっかり持つこと、つまり、自分の考えを表現する能力を身につけること、多文化や他人に興味を持ち旅に出ること、そしてなんでも話せる友人を作ることです。学生時代は、そんな友達を作るのに最も適した時期だと思います。人の差は、毎日、自分に厳しく向き合い、自分を変、向上させようと努めているかどうかで現れてくるものだと思います。プラス志向で頑張りましょう。

主要研究業績等

関連専門分野

政治学 (Political Science)
国際政治学 (International Politics)
平和学 (Peace Studies)
安全保障学 (Security Studies)
社会学 (Socialogy)

所属学会

日本平和学会 (The Peace Studies Association of Japan)
国際開発学会 (The Japan Society For International Development)
日本南アジア学会 (The Japanese Association for South Asian Studies)

外部資金の獲得状況

リサーチコア(代表)2015年度~2020年度「開発援助における女性のエンパワーメントと母子健康保険制度―日本・オランダ・インドネシアを事例として―」
EUIJ 九州EU 研究助成金(代表)2014 年度「EUの対南アジア予防外交―スリランカを中心に」
福岡女子大学研究奨励交付金B(代表)2013年度「日本の対南アジア紛争予防外交の分析:スリランカを中心に」
福岡女子大学研究奨励交付金C(分担)2013年度「初年次教育(FYS)の開発に関する研究」
福岡女子大学研究奨励交付金A(分担)2012年度「初年次教育(FYS)の開発に関する研究」
アジア地域大学共同研究補助金=The Consortium of Asian Universities in Fukuoka[CAUFUK](共同研究代表)2011年度-2014年度「持続可能な未来に果たすアジアの女性の役割」

  • 受賞歴

  • 担当講義科目

    学部

    担当科目 開講期 開講年度 内容
    地球環境と人類の未来 前期 2017年度
    平和と安全保障 前期 2017年度
    国際関係演習Ⅰ 前期 2017年度
    南アジアの政治と社会 前期 2017年度
    グローバル・フィールド学 前期 2017年度
    国際関係特別講義 前期 2017年度
    グローバル社会と人の移動 後期 2017年度
    国際関係演習Ⅲ 後期 2017年度
    国際協力・NPO/NGO論 後期 2017年度
    卒業研究演習 通年 2017年度
    卒業論文 通年 2017年度

    大学院

    担当科目 開講期 開講年度 内容
    グローバル協力論特別研究Ⅰ 前期 2017年度
    グローバル協力論特別研究Ⅱ 後期 2017年度

    活用可能な分野(社会への貢献等)

    スリランカおよび南アジアの政治経済についての紹介
    平和学の視点からのコミュニティづくりの見直しへの提言
    地域社会を対象とした海外実習体験成果の紹介


    研究者としてのニーズ

    平和・安全保障、平和構築、市民社会、南アジア(特にスリランカ)に関する情報

    関連領域

    • 体験学習
    • 地域交流
    • 国際交流
     

    キーワード

    安全保障 (Security), 持続可能な開発 (Sustainable Development), 地球環境問題 (Environmental Problem), 国際協力 (International Cooperation), 構造的暴力 Structural Violence), 人権 (Human Rights), 紛争 (Conflict and War Studies), テロ (Terrorism)

    高校等への出前講義テーマ

    グローバル化時代を生きる。(現在、世界では新興国の目覚ましい経済発展等による多極化の進行、国境を越えた短時間の移動、情報伝達手段の発達や貿易、投資の拡大などによるグローバル化が急激に進展するなど、まさに変革の時代を迎えている。そのような中、私たちは地球の持続可能性と人類の生存にかかわる様々な課題にも直面している。こうした脅威に対し、国際社会ともに日本に何が出来るかを国際関係論の視点からか考えてみる。)

    ページTOPへ