8月2日(木)
境界を超える「ことば」と「文学」
講習内容
日本の文学をめぐる最近の研究動向を踏まえつつ、文学的・語学的な諸問題を講じていく。学際的な手法を取り入れることによって、「国語」教材の研究にも有益となる新たな視点を取り込む。(毎回70分)
時間 | 授業名 | 講習担当 | 内容 |
午前の部 1限 9:00〜10:10
|
「もの」と「こころ」と和歌 |
今井 明 |
「物」と「心」から見る和歌表現。ここでは、古典和歌の結句表現に着目して、どのような「物」が和歌の「心」を形づくっているかを考えてみたいと思います。具体的には「〜ものにぞありける」や「〜ここちこそすれ」などの結句に接続する上四句のバリエーションを確かめ、そこに現れる「物」が「心」と結びつき、「文学」への道筋をたどる過程を追っていきます。こうした視点から、日本文学の伝統的な表現世界を垣間見ることができれば、と目論んでおります。 |
2限 10:25〜11:35 |
「公」と「オホヤケ」の語史 |
渡邉 俊 |
わたしたちが普段、何気なく使っている「ことば」の由来をたどっていくと、意外な歴史がみえてくることが少なくありません。「公」もその一つです。
本講義では「公」「オホヤケ」 ということばの成り立ちに注目して、その意味の歴史を考えます。あわせて、国語と日本史をつなぐ視点・方法を提示できればと思います。 |
3限 11:50〜12:30 |
午前の部 筆記試験 |
(坂本) |
|
午後の部 1限 13:30〜14:40 |
言語の構造と古典読解 |
坂本 浩一 |
古典文を読み解く上でポイントとなる言語の統合的構造(文法的構造)と連合的構造(語彙的構造)を十分に把握し活用した読解法、教授法について講義します。 教科書にもよく取りあげられる『竹取物語』等の物語類や勅撰和歌集などの古典資料を主要題材として、古典語と近代語の統合的構造の変遷を視野に入れた教材研究の実例や、連合的構造に着目した教材活用法のヒントなどを交えて示します。 |
2限 14:55〜16:05 |
|||
3限 16:20〜17:00 |
午後の部 筆記試験 |
(坂本) |
8月3日(金)
「国語」教材への視点
講習内容
教科書に採択されている国語教材については、作品の一部に留まっていることが多い。本講習では、教材をめぐって、新知見からなる読解の方法の提示、テキストの書誌的解説や日本語教育との対照など、国語教育に関わる問題を示し、新たな教授法を考える一助とする。(毎回70分)
時間 | 授業名 |
講習担当 |
内容
|
午前の部 1限 9:00〜10:10
|
日本語教育の文法と国語教育の文法 |
橋本 直幸 |
ことばの「産出」をその主な目的とする日本語教育と、「理解」に重点を置く国語教育とでは、何がどのように違うのか。活用や品詞の分類など文法項目に焦点を当て、日本語教育で教えられる文法と国語教育で教えられる文法との違いやその問題点を考えます。 また、近年、日本語教育の分野で多くの試みがある文法の学習項目の見直しについても紹介し、学習者にとって本当に必要な文法教育とは何かを考えます。 |
2限 10:25〜11:35 |
日本近代文学と国語教育 |
鈴木 暁世 |
本講座では、夏目漱石「こゝろ」、芥川龍之介「羅生門」、短歌・俳句・詩など、教材に採択されやすい「定番」や「名作」などの日本近代文学作品を取り上げます。新資料の発見や文学理論など近年の研究成果を踏まえつつ作品を読み直すことによって、魅力的な読解や解釈・鑑賞のあり方を検討します。 |
3限 11:50〜12:30 |
午前の部 筆記試験 |
(坂本) |
|
午後の部 1限 13:30〜14:40 |
日本語と古典 |
矢野 準 |
言葉のおもしろさを見直すことにより、国語教材への新しい見方のヒントを提示できればと思います。140分ありますので、前半は「言語遊戯と古典」、後半は「係り結びの働きとは何か」という2つの題目に分けて、それぞれ異なった問題の提起をしたいと思います。 |
2限 14:55〜16:05 |
|||
3限 16:20〜17:00 |
午後の部 筆記試験 |
(坂本) |
8月4日(土)
「国語」教材の購読T
講習内容
古典(古文・漢文)に関して、原典を専門的に読み解いていくことにより、「国語」教材に対する読解力と指導力の更なる向上を目指す。基本的にはひとつの作品を丹念に講読していくことによって、活発な意見交換がはかれるようにする。(毎回70分)
時間 | 授業名 | 講習担当 | 内容 |
午前の部 1限 9:00〜10:10 |
日本の漢詩を読む |
月野 文子 |
近年は日本漢詩も教科書に載るようになりましたが、大学の漢文の授業ではなかなか取り上げられる機会はないようです。 そこで、本講座では江戸時代の漢詩を少しまとまったかたちで読むことによって、江戸時代の詩人たちの作詩活動のイメージをつかむことができるよう工夫したいと思っています。また、〈推敲〉の方法についても考えてみます。 |
2限 10:25〜11:35 |
|||
3限 11:50〜12:30 |
午前の部 筆記試験 |
(坂本) |
|
午後の部 1限 13:30〜14:40 |
源氏物語の紫の上をめぐる構想と描写 |
工藤 重矩 |
『源氏物語』葵巻には、正妻葵の上が死んだあと、若紫との新枕、三日夜の餅の場面があります。光源氏は三日夜の餅を密かに用意させます。めでたいはずの三日夜の餅を、なぜ隠そうとするのでしょうか。当時の結婚制度を明らかにしつつ、光源氏の意図を読み解きます。併せて、点としての源氏物語教材を、線として理解する視点を提示したいと思っています。 |
2限 14:55〜16:05 |
|||
3限 16:20〜17:00 |
午後の部 筆記試験 |
(坂本) |
8月5日(日)
「国語」教材の購読U
講習内容
古典を中心に、原典を専門的に読み解いていくことにより、「国語」教材に対する読解力と指導力の更なる向上を目指す。基本的にはひとつの作品を丹念に講読していくことによって、活発な意見交換がはかれるようにする。(毎回70分)
時間 | 授業名 | 講習担当 | 内容 |
午前の部 1限 9:00〜10:10 |
『平家物語』の「かたり」 |
今井 明 |
「平家物語」は、生徒にも人気のある古典作品です。『徒然草』226段が伝える「平家物語」成立に関する逸話をヒントに、「平家物語」の物語としての特徴や、その成立の背景について読み解いてみようと思います。教科書では、抒情的な文体の「覚一本」系統の本文で物語を鑑賞することが多いけれども、読み本系統の「延慶本」などと比較しながら、「平家物語」の創作の機微にも触れられたらと思っています。 |
2限 10:25〜11:35 |
|||
3限 11:50〜12:30 |
午前の部 筆記試験 |
(坂本) |
|
午後の部 1限 13:30〜14:40 |
連句的発想の文体 ─細部にやどる古文のレトリック─ |
大久保 順子 |
古文教材でおなじみの芭蕉・蕪村・一茶の「俳句」や俳文的な文章を読解するには、書かれた文章の表層を直接要約するのではなく、古典文学全般のイメージと江戸時代的「俳諧」の感覚の共有を必要とします。本講座では、芭蕉や西鶴の作品にみる「俳」の発想や「連想する」文体の特徴を追いながら、細部と余韻の読み方について考えます。 |
2限 14:55〜16:05 |
|||
3限 16:20〜17:00 |
午後の部 筆記試験 |
(坂本) |
国文学科TOP 大学HP「 更新講習について 」 参照: 平成23年度 福岡女子大学(国語)教員免許更新講習内容