平成22年度 福岡女子大学(中高教諭 国語)免許更新講習内容

                                     

                                                   ☆大学HP「教員免許更新講習について

国文学に関わる最近の研究

 講習内容

日本の古典文学をめぐって、最近の研究動向を踏まえた文学的・語学的な諸問題を講じていく。このことにより、「国語」教材の取扱いの際に有益となる文学背景などへの造詣を深める。 (各90分)

 

 

 

18

時間

授業名

教員

内容

 

1限

9:00〜    10:30

 通説を疑う

矢野 準

 国語史に関わる音韻・文法・表記に関して、従来の考え方に対する比較的新しい考え方や、新知見を、先行研究をもとに、いくつか紹介していく予定。   @古代日本語の八母音説 A日本語の清濁 B係り結び C助動詞の区別 Dアスペクト ( 継続相・状態相など) E近世の仮名遣いとは など。

 

2限

 

10:40〜  12:10

 

藤原定家、「文学史」登場

 

今井 明

  「古文」教科書の基本的内容を構成する諸作品は、藤原定家の古典書写などの功績に負うところが大きい。 すなわち、ある種の「権威」として、定家は「教科書」に君臨している。

 しかし、定家はある偶然が作用していなければ、「文学史」にも登場しない泡沫歌人として、忘れ去られていたかも知れないのである。もしそうなっていたならば、今日の「教科書」の内容もだいぶ様子が異なっていたはずである。

 では、その偶然とは何か。「正治初度百首」として知られる、後鳥羽院が召した百首歌の成立過程を追いながら、藤原定家がわれわれの「文学史」に登場してくるドラマを見てみる。資料はすべて活字化されており、考察をくわえていく基礎はできている。

 

3限

 

4限

13:30〜  15:00

 

 

女流の漢詩をよむ

 

月野 文子

 

 

 近年は日本漢詩も教科書に載るようになりましたが、大学の漢文の授業ではなかなか取 り上げられる機会はないようです。

 そこで、本講座では江戸時代の女流詩人の漢詩を少しまとまったかたちでよむことによって、江戸期の詩人たちの作詩活動のイメージをつかむことができるよう工夫したいと思っています。

また、 < 推敲 > の方法についても考えてみます。

 

5限

15:10〜    16:40

試 験

(矢野)

 

6限

 

 

 

「国語」教材への新視点

 講習内容

教科書に採択されている国語教材については、作品の一部に留まっていることが多い。本講習では、教材をめぐって、新知見からなる読解の方法の提示、テキストの書誌的解説や日本語教育との対照など、国語教育に関わる問題を示し、新たな教授法を考える一助とする。 (各90分)

 

19

時間

授業名

担当教員

内容

 

1限

9:00 〜

 10:30

言語の構造と古典読解

 坂本 浩一

 古典文を読み解く上でポイントとなる点について、言語の統合的構造と連合的構造について確認しながら解説する。教科書にもよく取り上げられる『竹取物語』『土佐日記』『源氏物語』といった古典類を主要題材として、古代語と近代語の統合的構造の変遷を視野に入れた教材研究の参考例や、連合的構造に着目した教材活用法のヒントなどを交えて示す。

 

2限

 

10:40 〜  12:10

 

連句的発想の文体

─細部にやどる古文のレトリック─

 

 大久保順子

 

  古典教材でおなじみの芭蕉・蕪村・一茶の「俳句」や俳文を読解する時、江戸時代的「俳諧」の感覚を要する。「書かれた表層」を直接要約するだけではそれらの内容は理解できない。    本授業では芭蕉や西鶴の表現のもつ「俳」の発想と文体の特徴、細部と余韻の読み方について考えていく。

3限

 

4限

13:30 〜  15:00

国語教育の活用表と

 日本語教育の活用表

 川野 靖子

 外国人に日本語を教える「日本語教育」の分野でも動詞活用表が使われますが、国語教育の活用表とはかなり形が異なっています。この授業では、「国語教育と日本語教育の活用表にはどのような違いがあるのか」を確認し、「同じ日本語の活用表でありながら、なぜそのような違いが生じるのか」を考えます。    日本語教育との比較によって国語教材への理解を深めることを、授業のねらいとします。

5限

15:10 〜  16:40

試 験

(矢野 )

 

6限

 

 

 

「国語」教材の講読

  講習内容

古典及び現代文に関して、原典を専門的に読み解いていくことにより、「国語」教材に対する読解力と指導力の更なる向上を目指す。基本的には1作品を2時間単位で講読していくこととし、活発な意見交換がはかれるようにしたい。

(75分×2、75分×2、60分)

 

 

20

時間

授業名

担当教員

内容

1限

9:00 〜

   10:15

  休憩10分

10:25 〜     11:40

 

近代作家と古典

─ 漱石と太宰治の場合 ─

      

石井 和夫

 「草枕」と「生田川」は漱石と鴎外の万葉集への反応を示す作品で、このように漱石の俳句を含む作品には日本古典の影がある。 太宰の場合「カチカチ山」「新釈諸国噺」など表題にそれが顕著だが、これとは別に「徒然草」に対する反応が意外なかたちで認められる。漱石と太宰の作品から観取される日本古典の問題を講じる。

 

2限

 

3限

 

13:00 〜   14:15

  休憩10分 14:25 〜   15:40

 

源氏物語の女性達をめぐる

      構想と描写 

 

 

工藤 重矩

 

 『源氏物語』薄雲巻には、幼い娘を紫の上に譲るよう求められた明石の君の苦悩が描かれている。当時の結婚制度や妻としての立場の違いによる所生の子の社会的待遇の差の実態を明らかにしつつ、明石の君の苦悩を読み取る。併せて、紫の上を始め『言辞物語』に登場する女性達の構想上の役割、その役割ゆえの性格描写があることを述べ、点としての源氏物語教材を線として理解する視点を提示する。

4限

5限

6限

15:50 〜   16:50

試 験

( 矢野 )

 

 

 

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