企画展示案内
人文学系企画展示(2010.12~2011.3)
節用にみる江戸時代の基礎知識
「節用」は室町中期から近代初期まで出版された日本の用字集・日本語辞典・漢和辞典であった。
漢字と漢字熟語に読み仮名が付いている。
江戸時代中に益々付録、押絵が付いてきて、当時の一般教養に関する百科事典となった。
日用百科のような節用集が普及した背景には、変化した江戸時代社会が見られる。
高度な読み書き術を用いる人口が増加した。
契約や証文を読む、書けないといけない機会が増えた。
世間的知識を楽しむ余裕を持つ富裕層が発達した。
交流ネットワークが簡単に対面できる範囲を超えた。
交流が身分の境を越える可能性がでてきたので、武家の作法に興味を持つようになった。
国の歴史と有様への関心が芽生えた。幕末の尊皇攘夷論への第一歩でも言える。
例えば、江戸時代の朝廷は北朝の伝統の上に立った。南朝の正当性を認めなかった。
しかし「大日本史」や「日本外史」によって、南朝が再評価されて、明治時代から南朝の
正当性が認められ、北朝が傍系となった。
17世紀の節用集に北朝のみが書かれたが、万延年間の「大福節用」に南朝とその年号も載っている。
当時、北朝がまだ正統派として見られたが、すでに南朝の存在が浮かび上がってきた。
礼法から料理献立まで、外国情報から占いまで、多岐を渡って、当時の人々を関心させた情報が載っている。
この図書館に在庫している「節用集」に様々な節用集が集まっている。開いてみませんか。
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