胚の培養

　アフリカツメガエルの初期発生には、一定の濃度のNa+ K+ Ca2+ Mg2+ のカチオンが必要である。これらのイオンの欠如もしくは過剰はときに異常な発生の原因となる。当研究室では、比較的単純な組成の塩類溶液のMMRやスタインバーグ溶液を50％〜10％に薄めて使用している。MMR は両生類の標準的な生理的塩類溶液とほぼ等、スタインバーグ溶液は、50〜60％の塩濃度である。実際の培養にはオートクレーブ滅菌したものを用い。場合によっては、抗生物質を添加する。
　ビテリン膜を除いた胚でも寒天の穴の中にいれてこの培養液中で培養すれば、多くの場合タマジャクシまで正常に発生する。ただし、胚の状態によって死にやすいものがある。ので注意が必要。また、胚に致命的な傷がつくと、異常卵割や、細菌感染の原因となるので注意する。観察のポイント参照
　夏場など、細菌感染の恐れの高いときは、抗生物質を添加する。当研究室では、ペニシリンとストレプトマイシンの混液を滴加している。ただし、大量に入れると、発生に影響が出て尾芽の発生が悪くて曲がってしまったり、水泡ができたりするので注意。

　胚の手術はgentamycinを最終濃度10ｵl/mlになるように加えた培養液中で行う。

Steinberg solution（100%）

adjust to pH7.4-7.6 with HCl

PS Stock solution (×200)
dissolve penicilin 20,000unit and streptomycin 1g in 100ml DW
final conc.:100unit penicilin, 5mg streptomycin /ml
その他の培養液

Marc's Modified Ringers (MMR)

conc.(mM)

(g/l)

X10 Stock
(g/l)

MW

NaCl

100

5.844

58.44

58.44

KCl

2

0.149

1.49

74.55

MgCl2･6H2O
(MgSO47H2O)

1

0.203
0.246

2.03
2.46

203.30
(246.48)

CaCl2･2H2O

2

0.294

2.94

147.01

HEPES

5

1.192

11.92

238.3

Adjust pH to 7.5 with 10N NaOH (ca1.2ml)

　

Modified Barth's Salin(MBS)

Regents

MW

NaCl

88mM

5.14g/l

58.44

KCl

1mM

0.075g

74.55

CaCl2

0.7mM

0.078g

110.99

MgSO4

1mM

0.245g

246.48(7H2O)

HEPES

5mM

1.19g

238.31

NaHCO3

2.5mM

0.21g

84.02

Normal Amphibian medium (NAM)

Regents

NaCl

110mM

KCl

2mM

Ca(NO)3

1mM

MgSO4

1mM

Na2EDTA

0.1mM

NaHCO3

1mM

Na Phosphate

2mM

実験形態学