観察のポイント

I 観察するステ−ジ

 手術や、インジェクションを行った胚はなるべく頻繁に観察する。胞胚期や原腸胚期に観察しておかないと、あとで胚に異常が起こったときに原因がわからず、せっかく実験しても結果が使えなくなってしまうことがある。

A.卵割期・胞胚期

 この時期の細胞は非常に壊れやすい。また、卵割に異常も起こりやすく、部分死の原因となる。胚の表面から細胞がこぼれ落ちるようにして遊離してくることもある。

チェックポイント


B.原腸胚期

 原腸胚期は、劇的な細胞の移動や変化がおこる時期であり、胞胚期までは正常に発生しても原腸形成のときに死んでしまう胚がかなりある。また、中軸構造に異常が生じる場合、その原因の多くは原腸形成の異常に起因していることがある。特に、マイクロインジェクションを行った胚では、原口の陥入点あたりから細胞がこぼれ落ちることがある。観察の重点は、胞胚のときのチェックポイントに加えて、原口の形成が正常であるかどうかである。

チェックポイント


C 神経胚期

 神経胚まで正常に発生すれば、細菌の感染を除いて胚が死ぬことはあまり無くなる。この時期、脳や神経管が形成されるので、頭部や背側の形態形成に注意する。

チェックポイント


D 尾芽胚期


II 形態評価のポイント

A Dead or alive: 胚が生きているか、死んだ部分があるか。

 アフリカツメガエルの胚は部分的に死んでも調整して正常なオタマジャクシに発生することがあるので、原腸形成まで観察して、胚が部分的に死んでいないかどうか調べておく。多くの場合、


B  陥入の様子

 胚の異常として比較的多いものに、原腸陥入の異常がある。原腸の陥入が不完全だと、後の発生で胚の後部の構造(特に尾芽や後部の神経管の形成)に異常を引き起こす。


C  頭、軸構造の形成

D  その他

E.左右性の異常

左右対称な器官の一方の欠如

実験形態学