新着情報

新着情報

2019.07.03プレスリリース
ナメクジは眼が無くても脳で光を感知できることを発見!
 ナメクジは明るい場所を嫌い、暗い場所を好む性質があります。しかし、触角先端にある眼が無くてもナメクジは暗い場所に逃げることができるということが、環境科学科の松尾亮太教授らの研究により明らかになりました。
 
 ナメクジは乾燥を嫌い、また捕食者の目にとまりにくいよう、夜行性であり、昼間も暗い場所を好みます。明るい場所に置かれた場合、通常は、触角先端に一対ある眼を使って暗い場所へと移動します。しかし今回、外科的に両眼を切除されたナメクジでも光を感知して暗い場所へと逃げ込めることが明らかになりました。
 
 さらに、その際、ナメクジは脳で直接光を感知しているらしいことも分かりました。実際、眼を奪われたナメクジの頭部だけに光を当てても逃避行動を示し、また、本来は眼に存在する視物質タンパク質の遺伝子が、脳でも発現していることが分かりました。さらに、取り出してきた脳に直接光を当てた場合にも、脳の神経細胞が光応答を示すことが明らかになりました。
 
 今回の発見の生態学的な意義は十分には分かりませんが、ナメクジが光を避けるために、二重の光感知機構を持っていることが明らかになりました。また、ナメクジの触角は、切られても自発的に再生することが知られていますが、今回の結果から、再生までの期間は、脳を直接的に使って光を感知していることも予想されます。
 
本研究成果は、専門誌(Journal of Experimental Biology)に近日公開されます。
 
Nishiyama H, Nagata A, Matsuo Y, and Matsuo R.
Light avoidance by non-ocular photosensing system in the terrestrial slug Limax valentianus.
J Exp Biol (in press).
 

プレスリリース