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2019.03.22お知らせ
梶山理事長・学長 卒業式式辞
二〇十八年度福岡女子大学第六十六回卒業証書・学位記及び大学院第二十五回学位記授与式 式辞
 
 
 二〇十八年度の学部と大学院卒業の皆さん、おめでとうございます。本年度の卒業式は大学会館の都合で、エルガーラホールになりました。福岡女子大学のキャンパスで卒業式に出席したかったという学生の皆さんには申し訳ありません。
 
 「次代の女性リーダーを育成」を建学の精神とする福岡女子大学を巣立つ、学部学生228名、大学院生18名の皆さんと、ご家族の方々に心よりお慶び申し上げます。また、公務御多用にもかかわらず、卒業式・修了式にご臨席賜りました福岡県 副知事 大曲 昭恵様、福岡県議会議長 井上 順吾様、福岡県議会議員 長 裕海様、同じく県議会議員 大塚 勝利様をはじめ、御来賓の方々に、福岡女子大学を代表して厚く御礼申し上げます。また、式前に記念演奏をしていただいた九州大学フィルハーモニー・オーケストラの皆さん、学位記授与式を盛り上げる演奏、有難うございました。
 
 福岡女子大学は、二〇十一年から始めた教育改革以後、教育分野で目覚しい発展と進化を遂げてきました。福岡女子大学の教育分野での進化に関しては、後でまとめてお話します。福岡女子大学を卒業される皆さんに、大学で何を学び、人間としてどの様に成長したかをまず伺いたいと思います。福岡女子大学での学部四年間、または、学部と大学院で入学時の目標がどの程度達成できたかを、この卒業式で、自分自身で評価していただきたいと思います。
 
 皆さんが入学した二〇十五年には、キャンパス再整備の最終段階に入っていました。福岡県の多大な支援で、キャンパスは全く新しく生まれ変わりました。その新しいキャンパスで教育を受け、大学生活を楽しんだ皆さんであれば、キャンパス再整備の変化を直に感じることが出来たと思います。二〇十三年の教育・研究棟、スポーツキューブ、図書館、地域連携センターの新築から始まり、さらに二〇十六年には講義棟が、二〇十七年には本部運営棟が完成しました。開放的な空間が広がる、設備の整った図書館は、多くの美術品を所蔵しており、これらの設備と収蔵品を生かしながら日本の大学ではまだほとんど始まっていない「感性」に関する勉強をすることが出来た皆さんは稀な経験であったと信じています。「質の良い教育」と「国際化の深化」で日本の一流女子大学を目標に頑張っている教職員の努力で築き上げた福岡女子大学で学ぶことが出来たということに、誇りを感じて欲しいと思います。
 
 さらに、皆さんが直接目にすることはなかったかもしれませんが、福岡女子大学では様々な分野で多くの改善がありました。二〇二三年の創立百周年に向けた教育・研究の再構築のための戦略の設定を教職員の努力で実現することができました。そして、皆さんがスムーズに留学等の国際活動を行うことが出来るように、日本学生支援機構からの多額な財政的支援等、直接目に見えない数多くの支援は教職員の努力によるものであることを忘れてはなりません。二〇十七年度のTHEの大学ランキングでは、約80校存在する日本の女子大学で第2位となり、福岡女子大学は「地方区」から「全国区」に変化し、大学の質である「大学力」と「知名度」を短期間で著しく向上させることが出来ました。二〇十八年度は、2位から3位となりましたが、福岡女子大学を含む国公私1校ずつがどんぐりの背くらべで、日本一を競っています。この様な教育内容の充実した大学キャンパスで勉強をすることが出来た皆さんは、非常に幸せであったと、実感して頂きたいと思います。
 
 二〇十五年の入学式で皆さんにお願いした知的レベルの向上と人格形成に皆さん自身がどれ程、努力したかを今ここで考えてみて下さい。四年前の入学時の決意を忘れてしまった方もいるかもしれません。社会人になったら「忘れた」という「言い訳」は通用しません。二〇十五年四月の入学式の式辞では、皆さんが四年の間に、福岡女子大学で何を学び、人間として更に進化することをお願いしました。その中のいくつかを思い出すことが出来ますか? 
 
 まず、最初にお願いした努力です。入学して一年間の全寮制の生活で何を身に付けるかでした。留学生との交流を深め、世界に存在するあらゆる文化・習慣などの多様性を許容する努力や、イングリッシュ・タイムとイングリッシュ・デイに積極的に参加し、国際的素養を身に付ける努力をしましたか? 全寮制で学んだ様々な多様性の寛容が、国際性の豊かな人間性になるための訓練です。その中から創造的で今まで知らなかったことを見つけた感動が、教育に対するイノベーションと私は信じています。大学の勉強は、学生自身が自覚して行うものであり、他人から強要されて行うものではありません。自分で問題点を見出し、じっくり考えて答えを出すというデザイン型教育の訓練は、皆さんが大学教育を受ける間に身についたと信じています。本年度の寮生のアンケートで、月曜日夕方の寮の教育活動をアルバイト禁止にしてまで参加を求める理由は何かという質問がありました。大学は教育を受ける場所で何でも自由という訳ではありません。社会人になられたら、皆さんは社会人として守るルールがあります。
 
 入学時の第二の努力として皆さんにお願いした、「学生である前に良い社会人」であることに、努力しましたか?一九二三年(大正十二年)創立の福岡女子大学の前身である、福岡県立女子専門学校より受け継いだ建学の精神「次代の女性リーダー育成」を、社会人となる皆さんが更に発展・向上させる責務があります。「リーダーシップを持ち、国際的に活躍できる人材育成」の構築に尽力した教職員に恩返しが出来るよう、社会人として自立し、頑張ってください。福岡女子大学での教育では、「他人を思いやり、人格を重んじる教育」「人間としての常識と独創性を統合した教育」等、「感性」が育つように、大学として努力してきました。日本教育の得意な部分である「実学」は、教育の近代化には不可欠ですが、心の教育を重要視する教育を忘れてなりません。社会人となる皆さんは、人間の進化で足りなかった部分を補い、周りの人に尊敬される様、更に人格を磨いて下さい。
 
 二〇十一年に教育再復活を求めてスタートした国際文理学部は、二〇十五年三月に第一期生を社会へ送り出しました。大学院高等教育、即ち高等教育組織の完成形である博士後期課程は、二〇十九年度に完成しました。これらの大学の改革は、福岡県教育関係者や社会からの心温まる支援のお蔭であると、私達大学関係者は忘れてはならないと思います。
 
 福岡女子大学の「建学の精神」、「教育の理念」、さらに「大学のミッション」を「誇り」とする伝統的教育は、福岡女子大学の後輩学生へと引き継がれます。輝かしい伝統を持つ福岡女子大学で学び、身に付けた能力や経験を社会人として発揮し、後に続く後輩たちへの善き道標となるよう、卒業生の皆さんは活躍してください。そのためには、心身ともに健康であることは不可欠です。希望に満ちた社会人として活躍されることを願って、学位記授与式の式辞と致します。
 
「人格の創造を大学で努力したか」
 
二〇十九年三月二十二日 
 
公立大学法人福岡女子大学
理事長・学長 梶山 千里