新着情報

新着情報

2019.01.01お知らせ
2019年 福岡女子大学 理事長・学長からの年頭の挨拶
 福岡女子大学の教職員・学生の皆さん、新年明けましておめでとうございます。皆さんにおかれましては、輝かしい新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。
 
 2019年度は、福岡女子大学(福女大)が教育・研究の分野で社会的に一流大学として認められるかどうかの重要な年になります。法人化の2006年から数えて14年目の2019年は、中期目標・中期計画の第3期の2年目になります。2006年度の法人化後13年経ち、現在の福女大は、大学の最も重要な存在意義と役割である教育・研究で一流大学として認められているわけではありません。幸いにも教職員・学生の皆さんの努力のお蔭で、2017年のTHE(Times Higher Education)の日本の大学ランキングでは、約800校ある日本の大学で48位、36校ある福岡県内の大学では3位、さらに約80校ある女子大では、日本で2位となりました。国際化では、日本全国で7位となり、福女大は教育・国際化でやっと大学の仲間入りができたと、喜んでいます。2018年度は、全国ランキングで62位と低下しましたが、日本の女子大学ランキングでは、福女大を含む国公私の1校ずつがトップ争いをしています。近い将来、福女大が日本一の女子大となるよう、教職員・学生の皆さんの努力を期待します。毎年受けている県の大学評価では、国際化を含む社会貢献分野では、5年間続けて、最高の評点5を受けています。2017年度の評価で、初めて教育分野で評点5を獲得しました。福女大が、大学の最も重要な役割である教育分野で責務を果たし、大学としてやっと独り立ちのできる存在感が認められる様になってきたと喜んでいます。「質の良い教育」と「国際化の深化」で、福女大が一流大学になる様、皆さんと共に今まで以上に、なお一層の努力をしたいと思っています。そのためにも福女大の「プライド」・「ユニーク」で教職員・学生は情報を共有し、内容を理解しておく必要があります。
 
 福女大の「プライド」・「ユニーク」は、全国の大学の中で福女大しか実行していない、他大学との区別・差別の具現化であります。教職員・学生の皆さんが、「プライド」・「ユニーク」をきちんと理解し、皆でベクトルを揃えて今後の福女大の発展に貢献していただけるよう、下記にまとめておきます。大学関係者は福女大の近年の変貌と「プライド」・「ユニーク」をきちんと理解して下さい。福女大の「教育」・「国際化」の特徴を理解し、福女大の構成員一人一人が情報の発信源となり、日本で一流女子大学となるよう、さらなる飛躍・発展に協力・努力することが、福女大を日本一の女子大学にする確実な方策です。
 
 
Ⅰ.福岡女子大学の近年の変貌と「プライド」・「ユニーク」
(1)国際
・全寮制(留学生との混住)、English Time・English Dayの設定。月曜日はアルバイト禁止で、学生自主企画の寮教育を実施。
・学生の約70%が卒業までに海外留学を経験する。海外留学を体験できない日本人学生には、留学体験の代替支援策としてEnglish Villageを実施。海外への学生の送り出し、留学生の受け入れのための多大な経済的支援を学生支援機構から受けている。
・全寮制では、日本人学生と留学生とが混住している。寮での留学生は約130~135名が滞在している。(寮内の留学生比率は約35%、大学全体での比率は12~15%)。
・海外からの外国人向け短期留学プログラムとして、WJC(The World of Japanese Contemporary Culture Program)を実施し、留学生が英語・日本語で半年から1年間、日本文化を学んでいる(学期毎に約25名滞在)。
・ASEAN-EU域大学コンソーシアム(CASEU-FUKUOKA)を福女大が主催し、アジア・欧州の有力大学と協働して「女性教育の向上」を実行している。
・海外高等学校との高大連携を実施している。(ベトナム国家大学ハノイ校付属外国語学校、タイの高等学校との高大連携を協議中)
 
(2)教育
・精神文化の醸成、志・感性教育のため、福女大美術館を設立、薪能(ホルスト教員による事前講義あり)、ノーベル賞受賞者の若者育成講演会、弱者支援活動を実施。
・「感性」授業を2018年度第3クォーター(9月)より実施。
・クォーター制を2018年度より福女大の全教科で一斉スタート。
・授業が始まる前に、教員は何を教え、学生は何を学ぶべきかを互いに話し合い、両者が納得した後に授業がスタートする。この制度とクォーター制の実施により、学生の授業内容の理解度が深くなった。
・学生の自己進捗状況チェックシステム(学修ポートフォリオ)を開発し、学生が自主的に学習に対する進捗状況をチェックしている。
・学生主体で、9カ国語のLanguage-Cafeを立上げ、留学希望者への支援と帰国学生の経験を生かした指導を活用している。
・大学の運営・経営に学生が協力し、大学の各種委員会に学生が参加している。
・教職員と学生のための行動指針と建学の精神を記載したUIマニュアルを教職員と学生が常時携帯。
・内閣府・福岡県の共同事業でスタートした「女性トップリーダー育成研修事業」を福女大が主催。
・文化庁との連携で、絵画・彫刻を使った精神文化醸成教育を行っている。
・大学教育再生加速プログラム(文部科学省)による充実した国内外長期(1か月以上)学外研修の実施。
・英語教育と国際的支援教育により、商社、運輸分野への就職が拡がった。
 
(3)施設
・大学の旧建物の床面積、約90%を2011~2017年で建て替え、キャンパス再構築を実行し、床面積を約2倍に増した。図書館は、県産木材を多く使用した「森の図書館」をイメージ。
・キャンパス、美術館、図書館、地域連携センターを一般に開放している。
・2018年4月より、全面禁煙(ノースモーキング)キャンパスを実施。
 
(4)事務組織
・戦略企画部門として戦略企画センターを設立し、教職協働のセンター体制を目指す。将来は教育組織と研究組織を別組織にして、改組等の大学変革の実施をし易くする制度を準備しているが、実施には、学内で討論が不可欠。
・職員の働く意欲が増す様、職場環境・制度を改善。
・各種会議直後に議事録を作成し、作業の能実化を徹底的に実施中。
・職員主催の企画能力養成研修(例えば、10年後の福女大として「”国Cy”教育でCyber空間を活用した新規大学の提案」や、「0から1を生み出す大学」等で、大学構成員が提案した創造的題材を使い、人材育成開発を行っている。)
 
(5)2023年の100周年記念事業
・記念事業として「女性リーダーシップセンター」、「国際フードスタディセンター」の設立と「福女大フィルハーモニーオーケストラ」の結成。
・学部3学科の教育を主専攻とし、上記2つのセンターの研究を副専攻とする2つの教育体制を交叉させ、文理統合教育を推進する。
・女性の働く場の充実を実行するため、2023年までに、現在約30%の執行部の女性比率を50%に、現在約35%の上位教員(教授と准教授)の女性比率を40~45%にする。

 
Ⅱ.2023年の100周年記念事業の実施に向けて
下記の事業を実施することを記念事業委員会で決定している。
・100周年記念事業を推進するための、募金事業の推進。
・上記100周年記念事業(5)に示した、2つのセンターを設立し、既存の学部3学科の教育を結合させ、文理統合教育を完成する。また、福女大フィルハーモニーを結成する。
・若年教職員と学生の国際化の深化に対する支援。
・大学100周年記念誌の完成。
 
 100周年募金事業は、学内教職員と同窓会で既にスタートしている。地元企業に募金を全面的にお願いするので、まず上記2つの学内組織の100周年事業に対する意気込みを示すと共に、募金に対する責任ある教職員の行動を社会的に示す必要がある。100周年記念事業は、大学組織として、構成員が一丸となって実行・協力することが教職員の社会的責務である。そのためにも、学内募金への積極的参加が不可欠である。現在の教員の募金内容が如何にいびつなものであるかを理解し、募金に対する教職員の協力を大学構成員が実行することをお願いしたい。他人に募金を頼るだけで、教職員が自ら募金に対する意気込みを示さないという行動は、一般社会常識では考えにくい。100周年記念事業は、大学の飛躍・発展の源であるので、教職員は一般社会常識を認識して、募金活動をして欲しい。また、募金を企業へお願いすることがスタートしたときには、各企業への募金活動を教職員全員でしていただく。

 
Ⅲ. 「質の良い教育」と「国際化の深化」で一流大学を目指そう
 福女大の使命と存在価値は、主たるステークホルダーである学生に「質の良い教育」と「国際化の深化」による人材育成の実施と「研究」の成果を使用した市民の生活向上にある。福女大の教育は、大学の使命を充分に発揮する段階まで進化しているが、「研究」に関しては、満足のいく段階ではなく、研究が認められるまでには少し時間を要する。福女大構成員の研究の進化は、大学院募集の活性化に不可欠な条件であることを教職員は意識して欲しい。
 福女大の「ユニーク」も近年多くの大学で提案・実行しており、福女大「ユニーク」は「ユニーク」でなくなりつつあります。大学の社会的責任は、私達大学人が思っている以上に重く、期待されています。大学は人材育成の機関ですが、そのステークホルダーである学生、社会、企業に成果を如何に提供できるかという重い責任があります。福女大の「ユニーク」は他大学でも実施される段階となり「ユニーク」でなくなりつつある段階では、時代を先取りする独創性を生み出すことが福女大の教職員に強く求められています。福女大が個性ある「ユニーク」を提案し続けるには、大学組織としての「ユニーク」を如何に継続的に提案できるかの能力に掛かっています。新たな「ユニーク」を出すためには、教職員・学生の独創性・創造性に基づく「ユニーク」な提案が不可欠です。日常的に独創性・創造性を生み出し、提案できる教職員・学生になれる様、日常の行動で独創性・創造性を生み出す努力をして下さい。身の周りに関心を持ち、何事にも好奇心の持てる人間になりましょう。また、高い志と倫理は大学人として常に持ち続けなければなりません。少々精神論めいた年頭の挨拶になりましたが、如何に私達の日常生活から創造性が失われつつあるかを、大学構成員は考えてみてください。近い将来、福女大が「質の高い教育」と「国際化の深化」で、一流大学になることを誓って、2023年までの100周年を乗り切りましょう。
 
 
2019年(平成31年)元旦
公立大学法人福岡女子大学
理事長・学長 梶山千里