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2021.01.01お知らせ
2021年 福岡女子大学 理事長・学長からの年頭の挨拶
梶山より、教職員・学生へ
 最近の福女大の業績とユニークを下記の年頭の挨拶に纏めておきます。今後、福岡女子大学の発展や外部資金の獲得等のために、福女大ユニークを理解し、有効に活用する必要があります。教職員・学生が、年頭の挨拶を必ず読まれることを希望します。
理事長・学長 梶山 千里



 福岡女子大学(福女大)の教職員・学生の皆さん、新年明けましておめでとうございます。
 
 2020年は4月のコロナ緊急事態宣言以来、大学の教育・研究を始め、社会活動がほぼストップし、通常とは異なる年となりました。第1、2クオーターはOnlineのみの授業、さらに、9月25日からの第3クオーターより、対面授業(全授業の約40%)とOnline授業の併用となりました。福女大の新一年生に国際性を教育するための全寮制(日本人学生は1年間、留学生は4年間)も入寮時期が制限され、2020年度は、福女大の教育という観点からは非常に不満な状況となりました。第1、2クオーターは、学生がほとんどキャンパスに居ないため、教育活動の響きもほとんど聞けない寂しい状況になりました。また、韓国からの10名の新入生の入国が延期となりました。福女大の国内外の授業は、Onlineで何とか凌げましたが、大学教育という面からすると、2020年度の教育は満足でない状況でした。教職員の在宅勤務も始まり、教職員は行動を自制することが、強く求められました。
 2011年4月より、私は福女大の理事長兼学長を務めていますが、教育に責務を持った約50年の中で初めての経験で、私自身の活動が制限された状態でした。私が福女大に着任した2011年度は、福女大の新しい教育改革のスタートの年であり、新寮での全寮制を開始し、2011~2017年にはキャンパス再整備も行いました。その意味で2011年は、福女大教育の歴史的改革、再出発の年と言って良いでしょう。大学ランキングの一つであるTHE(The Times Higher Education)世界大学ランキング日本版の年度毎の記録が始まった2017年以来、全国約80ある女子大学の中で、福女大はユニークな大学として、常に1~3位で活躍しています。私は、2021年3月末で福女大の理事長兼学長を退き、次期学長に福女大の運営・経営を引継ぎます。ここで、私の福女大での10年間の仕事とユニークをまとめておきます。教職員・学生の皆さんは、ここ10年間の福女大の進展・発展を理解し、「福女大ユニーク」を今後の大学改革に大いに活用し、大学の改善・改革を進めて下さい。中央での福女大の評価と福女大教職員の考え方にかなりのずれがあります。中央の行政・企業・大学に福女大を正しく理解して貰うには、福女大の「ユニーク」の理解が必要です。福女大の教職員・学生が福女大の中央での現状を正しく理解しない限り、「福女大ユニーク」は大学の発展に繋がりません。今後の福女大の一層の進展・発展のためには、外部資金獲得が必要となります。「福女大ユニーク」は、外部資金獲得のための強い武器となることを福女大の教職員・学生は理解して下さい。ここ10年の福女大のユニーク・変化を正しく理解されることを望み、2011年以降の「福女大ユニーク」を纏めておきます。
 
 福女大「ユニーク」の活用:2011~2015年は、旧福女大から新制福女大になる変換期間で、大学の教育改善のため、様々な試みをしてきました。近年、その試みが結実し、下記の福女大の目標を提案することが可能になり、福女大は発展してきました。教育に関しては、「教育の原点に戻る」と「教育の国際化」で学部と大学院の改革を継続することができました。また、創立100周年の2023年までに設立予定の2つの研究センターと従来の学部教育を縦横に結び付けることにより、文理統合教育をスタートさせる準備ができました。
ここで、福女大を発展させてきた最新の「教育目標」を年代別に挙げておきます。
 1)「質の高い教育」と「国際化の深化」で日本一の女子大学になろう。(2017~)
 2)「組織と規律の徹底見直し」を行い、「質の高い教育」ができる大学になろう。(2019~)
 3)将来の大学評価軸の提案
   今後の大学評価は、大学の教育レベルのランキングだけでなく、人間の幸せのための(ESG*1)と(SDGs*1)の活動に如何に貢献するかによって決まる。(2020~)
 4)2023年の福女大創立100周年の活動の一貫として、2つの研究センターを構築し、従来の教育活動と結合して、文理統合教育を実行する。(2021~)
 
*1 ESG=Environment, Social, Governance(持続可能な社会に向けた貢献とはどうあるべきか)
SDGs=Sustainable Development Goals(国連が決めた持続可能な開発目標)2016~2030年でグローバルな課題解決に向けて、世界が協力しようという内容で「環境」、「経済」、「社会」に向けたゴールを定めている。福女大は、ジェンダー平等に向けた解決に参加している。
 
 上記の福女大の行動を目標にした教育・研究、組織体制に関わる特徴を「福女大ユニーク」として、「表1」に纏めておきます。「表1」の1.~4.で努力した福女大の結果が、「表2」の2017年以降のTHE世界大学ランキング日本版となります。関東の国私立2校と福女大を加えた、国公私3校が日本の女子大学トップ3を競っていることを福女大の教職員・学生は理解して下さい。
 福女大の大学ランキング評価は、「表2」に纏められています。福女大の教職員・学生の努力が徐々に実っており、教職員・学生の頑張りと努力に感謝したいと思います。日本の大学評価は中央集中型であり、企業の評価が中央に偏っていますので、今後、正しく福女大が評価されるよう、私達の努力が必要となります。福女大が日本一の女子大学となるには、執行部・教職員・学生に、一層の努力を求めたいと思います。努力の一例として、学生が中央の企業に就職することによって、中央に於ける福女大の現状を中央の行政や企業に理解させることも必要です。
 
 ここ数年の教職員・学生の努力による福女大の発展は目覚ましいものがあり、2019年以降の福女大の努力を、下記の様に1)~4)にまとめることができます。今後、福女大は、「教育の原点に戻る」ことが必要であり、そのための人材育成も強く求められます。「福女大教育」の改善・改革の努力法として、以下の1)~4)が考えられます。
 1)授業前に教員と学生が徹底討論。2018年クオーター制のスタートによる週複数回同一授業による授業理解度の深化。また、授業内容を復習する習慣を身に付けると共に、抜き打ちテスト(クイズ)等によって、授業中の緊張感を生み出すことも可能となります。
 2)2019年以降の福女大の授業は、教える場を提供するが、答えや解は自分で見付ける教育を重視します。
 3)今後の大学ランキングを決める新しい評価軸を提案する。例えば、企業は利益を上げ、株の配当を増やすことで、大学は優秀な学生を輩出することなど、社会の発展に寄与することで良いとされました。今後は、これらの貢献にESGやSDGsを達成することも強く求められます。人間の幸せに対する、企業や大学の努力が大学ランキング評価に加わります。
 4)地方大学としては、中央と地方大学の評価格差を無くす努力が必要です。評価格差を無くす努力の一例として、中央と地方の大学間の強い連携が求められます。
 
 上記の中で、1)~4)の問題解決には、かなりハードルの高い事項もありますが、これらの改善には、日本の中の大学が一体となって解決に向けて努力することが不可欠となります。コロナ禍により、さまざまな計画は、変更・中止を余儀なくされましたが、その間に次の進展・発展に向けた準備を怠りなくしていることが、大学の今後の発展に差が出てきます。
 
 今年の年頭の挨拶は、従来とは異なる形式となりましたが、最初に述べました様に、日本一の女子大学となるためには、福女大の現状・目標、特にユニークと、中央と地方の格差を正しく理解し、教職員・学生が一丸となって、「日本一の女子大学」という目標に向かって努力しない限り、目標を達成することはできません。皆さん、日本一の女子大学を目指して、頑張りましょう。

2021年(令和3年)元旦 
公立大学法人福岡女子大学
理事長・学長 梶山 千里  
 
 






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