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活動報告

3月3日 第8回 アートマネジメント講座「報告会」

2019年03月06日活動報告

2月に企画を実施してから丁寧に振り返りを行ってきた各グループ。
九州大学の長津結一郎さんを講師に迎え、実施当日、その場にいなかった⻑津さんやもう一つのグループに、どのような場で、どのような気づきがあったのかを伝える報告を行いました。
発表時間は10分。質疑応答20分。各グループの持ち時間は合計30分。今回の企画を実施して得た学び、自分たちなりの答えが伝わる発表となりました。
発表の後は、受講生が実践したことが持つ意味を確かめる⻑津さんのレクチャーと、それぞれに感じてきたことを言葉にして共有するグループディスカッション。充実の最終講となりました。
 

アフリカグループ実施報告

まずはアフリカグループの発表。



カラフルなお面と布を身に付け、太鼓の音を響かせて、その場の空気を蘇らせる演出の中で、講師、施設職員、子どもたち、受講生の交流の様子を伝えました。
福祉なのか、アートなのか、どこに重きを置 いたらいいかわからないモヤモヤ。地域に小さな交流と子どもたちに楽しみを届けた喜び。実践することで得たものが確かに見える発表でした 。

子どもたち一人一人を丁寧に観察して感じたことを振り返る中での気づきは、「障がいの程度、個人によって楽しみ方が異なる。それも個性!」
「障がいとは何か」という問いへの答えを、「お互いを知らないということ。知る機会の喪失」と表現しました。
お互いをもっと知り、世の中にある障がいをなくすために、「精度をあげて再挑戦したい!もっと交流を生む場を実現させたい!」更なる願いを宣言することで締めくくりました。

⻑津さんからは、「福祉かアートかは二項対立で分けられるものではなく、福祉現場の普段の生活や仕組みの中で、もっとこうあればというところを別の形で示してあげることがアートプロジェクトの面白さであり、それをどう示していくかが悩みになってくるのではないか。今回感じたモヤモヤを大切に育てて欲しい」と、次を目指す受講生へ温かい助言が伝えられました。


 

寄席グループ実施報告

続いては寄席グループの発表。



「誰にでもひらかれた舞台鑑賞の場を提供するための環境づくりを提案したい」という思いで企画し、調査、準備を行い実施した経緯を説明しました。
余裕を持った体制で安全な運営を行うための予算計画・ 準備期間・知識の必要性。出来ることと出来ないことを明確にして企画立案・実施をする必要性。聴覚障がいの参加者に手話が理解できる人とできない人がいたように、同じ障がいでも人によりニーズが違うことがわかったため、思い込みを排除し、対象者のニーズを把握することの重要性。実践して丁寧に振り返ったことで得た、これらの学びを伝えました。



「自分だけでは外出できない障がい者の把握とサポート体制の充実を図ること、多様なニーズを把握して芸術鑑賞の機会 を提供すること、それを継続し、さらなるニーズの掘り起こしを行うこと」。最後に、今回の実践と調査で得た知見をもとに辿り着いた、社会へ提言したいことを伝えました。

一人ひとりを丁寧に見てコミュニケーションを取りながら、準備を重ね実践した寄席グループの誠実さに、感嘆の声を上げた⻑津さん。「鑑賞体験をつくることはマネジメントする側の表現であり、どうデザインし提供するかで鑑賞体験が変わる」。時間芸術とも言える落語を届ける難しさを感じた受講生に、感じたことを次に繋げる拡張の可能性についても伝えてくれました。



社会包摂に関わる芸術活動が生み出すもの

社会包摂に関わる芸術活動、九州大学ソーシャルアートラボの「演劇と社会包摂」制作実践講座に企画立ち上げから関わり、講師も担当した⻑津さん。この講座と重なるテーマで行った取り組みの様子や、社会包摂に関わる芸術活動が生み出すものについての考えを聞かせてくれました。

実践と考察を重ねる⻑津さんの話の中で、特に「文化の場が地域にとっての新たな居場所として機能するきっかけとなる可能性がある。普段出会わない多様な人たちと新たなつながりをつくり得る」「鑑賞環境をつくることはもうひとつの 表現。ニーズを探ることが大切」という内容は、アフリカグループ、寄席グループが、ただ一度の挑戦の中でも感じ取っ たことを確かめる内容であり、企画を実践した意義を感じさせてくれるものでした。



言葉にするグループディスカッション

レクチャーの後は体験をベースに抽象的な視点で振り返る時間。
「アートは、障がいの有無を乗り超えることに、どんな役割を果たせるのか」。
この問いへの答えをキーワード的に書き、二つのグループ、事務局を混ぜた3人組で共有し、 代表者が発表しました。



難しい問いかと思いきや、スラスラと書き始める受講生。

「ミ ッ ク ス ジ ュ ー ス の 牛 乳 ... 障がい者 も健常者もミックスするおいしい牛乳」
「結 ぶ / 放 つ ... 人を結びつけ、固定観念を手放す」
「ハ ブ ... つなぐ」
「崩 ... 既成概念を崩す 」
「 存 在 を 知 る 」
「 自 分 を 知 り 、相 手 を 知 る 」
「 潤 滑 油 」
「 境 界 線 を 薄 め る 」





言葉にして分かち合うことで 、それぞれがテーマと向き合い、自分で考え続けたこと、この講座が深い学びが得られるものであったことを確かめることができました。

最後は、事業責任者の森田より修了証の授与と閉講のあいさつ。
障がいの有無を乗り超えるアートの役割について、
「想像と創造を生むものであり、やはりモヤモヤと消化できないものである」と自分の考えを述べました 。
そして、「結果だけではなく、困難もあっただろうプロセスもよいものであったと感じて欲しい。それがよかったと思うと次のステップに繋げられるのではないか」と、受講生にエールを送りました。





「障がい者とアート」をテーマに、2018年6月の導入講座から始まり、特別公開講座、アートマネジメント講座を実施した本年度の事業。
この日の報告会を持って、全講座が終了しました。
寄り添う中で懸命に学ぶ受講生から多くのものを与えてもらい、様々な人との出会いによって多くのことが叶えられた、事務局にとって感謝ばかりの日々でした。
みなさま本当にありがとうございました。

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