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12月8日 【受講生企画 ワークショップ】 「見えない」から始まるコミュニケーション 暗闇ねんど遊び

2020年01月15日活動報告


6月から始まった「福岡女子大学アートマネジメント講座」も半年が経過し、いよいよ受講生企画のワークショップを実施する日がやってきました。第一弾は、受講生のポエムチームの企画による『「見えない」から始まるコミュニケーション 暗闇ねんど遊び』です。2週間に一度は話し合いを重ね、前日まで細かな準備を進めて来ました。

                             
 
今回のワークショップでは「目が見えない」という世界を体感し、目隠しをした状態で聞こえてくる「音」から想像を膨らませて粘土で作品づくりにチャレンジします。参加対象は小学生以上。子どもから大人まで12名が集まりました。2時間のワークショップでは、進行はもちろん会場準備や受付、誘導も全て受講生が担当します。プログラムが始まる前の会場には、受講生の2人が地下鉄空港線天神駅から大濠公園までを目隠しをして移動した映像が流れます。続々と集まる参加者の興味を引き付け、ワークショップへの期待感を高めていました。映像終了後、今回の企画趣旨やプログラムの流れを簡単に説明したら、さっそくワークに入ります。



はじめの1時間は「目が見えない」という世界を体感します。私たちは、日常生活の8割以上を視覚に頼って生活しています。視覚が奪われるとどうなってしまうのか。また、白杖をつく方の介助をする立場になった時どんな介助が必要なのかを2人1組になって模擬体験します。受講生はこのワークのために、会場外の廊下に4つの障害物を作りました。発泡スチロール製の高さ10cm程の段差、ブルーシートで作った幅60cm程の水溜り、ダンボール製の柱、椅子です。受講生はそれぞれ障害物の横に立って参加者の事故や転倒を防ぎつつ、その様子を見守ります。
 




参加者は目隠しをする人、介助人のペアになって4つの障害物を越えたら交代です。介助人が手を取ってゆっくり丁寧に進むペアもあれば、どう声をかけていいのかがわからず目隠しをした人が柱にぶつかりそうになっていたペアもいました。全員が一巡した後、「喫茶ポエム 福祉作業所」の所長であり自らも全盲の視覚障害者である橋口千恵子さんが特別講師となって、正しい介助についてレクチャーをしました。「段差はその直前で止まり『段差です』と声をかけた後、上り階段なのか下り階段なのかを教えてください。これは水溜りを跨ぐ時や椅子に座るときも一緒です。今目の前に何があるのか、これからなにが起こるのかを教えてもらうことで私たちは行動を次に移すことができます」。ほかにも水溜りは大まかにその幅を伝えることや避けれるのであれば避けること、避ける時は特に声をかけず余計な情報を与えすぎないこと、方向を示す時は時計の文字盤を使って位置を示すことなど介助のポイントを話されました。





橋口さんのレクチャーを踏まえて障害物に再チャレンジです。1回目に比べて、どのペアもスムーズに介助ができ4つの障害物を全て越えるまでのスピードも早くなっていました。参加者からは「視覚のない世界を初めて体感した」「2回目は1回目よりスムーズにできたけれど、見えないという恐怖と不安は消えなかった」と声が寄せられました。



 
10分間の休憩を挟んだ後は、暗闇ねんど遊びです。アイマスクを着用して流れてくる音に耳を澄まし、そこからイメージされる感情を粘土で造形します。まずは4人1組で3つのグループに分かれ、島型にレイアウトされた机に着席。参加者同士の簡単な自己紹介の後、アイマスクをつけてワークに移ります。今回受講生が選んだのは、水の音。流れるような水ではなく、「ぴちゃん、ぽちゃん」と雫が滴っているかのような音です。すぐに手が動く人やしばらく音に耳を傾ける人などそれぞれが思うままに粘土作品を作り上げました。自分が作っているものが見えない分、慎重に触覚を研ぎ澄ませて作業を進めます。
 




20分後、互いに完成した作品をアイマスクをしたまま鑑賞していきます。優しく触れて「なにを表しているんだろう」「これは植物かな」と想像力を働かせ、楽しげな声が飛び交っていました。そしてアイマスクを外しての対話。各グループに受講生が一人ずつ入ってファシリテーターを務め、作品を作ってみての感想や自分の作品についての意見を交換しました。最後は司会を担当した受講生から総括を述べ、ワークショップは予定時刻通り大盛況で幕を閉じました。









参加者の見送りを終えた受講生は、今日のワークショップを振り返ります。ある受講生は、「参加者の方が楽しんでくれて、こちらまで嬉しくなりました。しかし企画という面で考えると、粘土のワークには説明に少し言葉足らずな部分があったと思います。特に低学年の小学生にとっては難易度が高かったかもしれない」と話しました。受講生らがこの企画に期待していたことは音から連想する「感情」を粘土で表現し、それを鑑賞することでした。しかしながら、参加者の作品を見ると雫やししおどし、コップ、濡れたTシャツなど水にまつわる物を形にしていて、感情を表現した人はいません。特に子どもにとっては音を聞いて作るということが理解できず、作品がほとんど出来上がらない場面があったといいます。他の受講生も「テーマと対象年齢をもっと具体的にしたほうがよかった」「『ねんど遊び』として告知してしまったことで企画趣旨に誤解を招いてしまったかもしれない」などと企画内容について1時間じっくりと振り返りました。


 

 
今回特別講師でお越しいただいた橋口さんは「介助のポイントを伝えた際に、みなさんがすぐに大事なポイントを掴んで実践してくれていたようでとても嬉しく思いました。いろいろと課題が見えたようですが、熱心な姿が素晴らしいですね。今回のワークショップを通じて介助をしてくれる環境が増えることに感謝します」と述べ、拍手で全員を称賛し振り返りを終えました。今後は年明けの活動報告会に向けて、発表の準備を進めていきます。
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