FDAによる細胞の標識


FDAの調製

  1. 5%FDA CMFS溶液をつくり、FDAストックとして冷凍庫に保存する。
  2. FDAストックを10倍希釈して0.5%FDA CMFS溶液を100μlつくる。
  3. ウルトラフリーなどの遠心式のメンブレンフィルター(0.2μm)を使ってろ過滅菌する。
  4. マイクロスピッツチューブなど、密閉できるチューブに移し、冷凍保存する。


FDAの濃度は高いほど蛍光が強いが、あまり高すぎると注入した細胞に害を及ぼす。0.2〜2%程度の範囲で条件を変えて試してみるとよい。


割球ヘのFDAの注入

  1. キャビラリーチューブを、キャピラリーチューブ保持台に差し込む。
  2. ゲルローダーチップを使って、キャピラリーチューブに2〜3μlほどの0.5%FDA溶液をとる。
  3. インジェクター(ナノジェクトバリアブル)の針先からFDA溶液を吸って充填する。
  4. 100%スタインバーグ液を満たした寒天プレート中にビテリン膜を除いた卵割期胚(1〜16細胞期)を用意する。
  5. 卵割期胚の割球に、FDA溶液を4.6〜9.2nl注入する。
  6. 胚を100%スタインバーグ液を満たした穴開き寒天シャーレの穴の中へ移す。
  7. 注入のときに生じた穴が塞がったら、培養液を徐々に20〜50%スタインバーグ液に換えてやる。

FDA注入割球の子孫は、生きたまま蛍光顕微鏡下で観察可能である。

 

動物半球右背側細胞にFDAを注入して発生させた神経胚(写真右が前方)

尾芽胚期の切片標本(左から300μm毎の横断面切片)



キャピラリーチューブ:
ヘマトクリット毛細管を7mmほどの長さに切り、片方の端をマイクロバーナーでとかして試験管状にしたもの。使用前にガラスシャーレに入れて乾熱滅菌をしておく。


実験形態学