20080123
プラスミドの直線化
<ユニークサイト>
制限酵素を使ってプラスミドを直線化するには、プラスミドの制限酵素マップから、プラスミドDNAを一ヶ所でだけ切断する制限酵素を選ぶ必要がある。このとき切断される場所をユニークサイトと呼ぶ。
<制限酵素1単位は、1時間に1μgのDNAを切断する酵素の量>
切断に必要な制限酵素の量は、プラスミドDNAの量に比例する。制限酵素の1単位(unit)とは、1時間に1μgのDNAを切断する酵素の量だが、プラスミドDNAは、スーパーコイルになっていて切断しにくい状態のものが多いので、3 - 5倍過剰な量の制限酵素を加える。
以下10μgのプラスミドDNAを10unit/μlの制限酵素で切断する(反応液の総量100μl)例である。
1 プラスミドを切断する制限酵素を選び、使用バッファーの種類と温度を調べる。
2 Heat block かWater Bathの電源を入れ、制限酵素の処理温度にしておく。
3 プラスミドDNA溶液の濃度からDNAを10μg切るのに必要な容量を計算する。
4 プラスミドDNA溶液とバッファーストック10μlと制限酵素3μl (大体30単位くらいに相当)の合計の容量を計算する。
5 100μlから4で計算した容量を引いて必要な滅菌蒸留水の量を計算する。
6 滅菌蒸留水、バッファーストック、プラスミド溶液の順にエッペンチューブに入れる。
7 制限酵素を冷却剤の容器ごと持ってきて、軽く遠心した後フリッピングする。このとき手早くやらないと、温度が上がって制限酵素がダメになるので注意。
8 最後に制限酵素3μlグラムを6の混合液に加えてフリッピングする。
9 所定の温度で2時間切断。
10 3μgほどとって電気泳動して切断を確認する。
11 切断されていればPCI処理でDNAの抽出をおこなう。
フェノール抽出
注意:ここで使うTEは、10mM Tris 1mM EDTA pH8.0
PCI はPhenol TE:Chloroform:isoamylalchohol = 25:24:1 混合液
Phenol TEはTE飽和フェノール
1 制限酵素で処理したプラスミドDNA溶液に150μlのTEを加える。
2 250μl の PCI を加えてボルテックス
3 12000~15000RPM (TOMYの微量遠心機)で1~3分間遠心する
4 水相を新しいエッペンチューブにとり、2と3の操作を繰り返す
5 水相を新しいエッペンチューブにとり、Chloroform を加えてボルテックス
6 水相をとる。
(DNAの回収率を上げたいときには、4の操作後、水相を除いた後のPCIに150μl程度のTEを加えて再抽出をおこなう。PCIとChloroformは、一回目の抽出で使ったものをその順番に再度使う。)
7 水相の1/10量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を加え、2倍量のエタノールもしくは等量のイソプロビルアルコールで沈澱させる。
8 15000rpm で15分遠心後、上清を除き(10ulくらい残っていても良い)、1ml の70% エタノールで洗浄する。
9 15000rpm で5分遠心後、できる限り 70% エタノールを除く。
10 沈澱を乾燥させ、10~20μlのTEを加えて溶かし、DNA濃度を測定