FETAX試験:アフリカツメガエルを使った環境調査試験
近年、環境中に放出された有害化学物質の生物への影響が問題をよんでいる。ダイオキシンをはじめとして、残留農薬、残留PCB、酸性雨による土壌中のアルミニウムイオンの溶け出し、そして環境ホルモンなど多種多様などは、急性毒性をもたらす場合のみでなく、慢性的な毒性や催奇性を示すことがあり、静かに生物を脅かしている。
これら、環境中の有害物質を調べる方法として、化学的な分析によって直接化学物質を突き止める方法の他に、生物に対する環境の影響を調べるバイオアッセイによる方法がある。化学分析では、有害物質を直接特定できるという利点があるが、化学物質によって分析方法がことなるため、ある程度調べる化学物質を予想しておこなわなければいけない。バイオアッセイでは、環境中の有害物質を直接特定することは困難だが、有害物質が含まれているかどうかを判定することができる。このため、化学分析とバイオアッセイは、車の両輪のように、併用することによって、有効な環境調査となる。
本研究室では、アフリカツメガエルの初期胚を使って、バイオアッセイによって環境の評価をおこなっている。遺伝的に一定で、正常な発生をおこなうカエルの幼生(オタマジャクシ)を使うことによって、特定地域の水質を調査し、有毒物質の有無を評価することができる。方法的には、FETAX試験という、ある程度確立されたものを基本的に使用している。アメリカのミネソタ州の環境調査などで近年成功を収めている方法でもある。
日本には、湖沼が多くあり、その水環境が生物に与える影響はもっと調査されて良いはずであり、今後このような水質調査法が必要となって来ると考えられる。
山田緑地で発見された奇形ガエルの写真

具体的なテーマ例
- 北九州山田緑地の水環境が両生類の発生に与える影響のFETAX試験による調査
- 特定化学物質が両生類の発生に与える影響のFETAX試験による調査
研究テーマ