アフリカツメガエルの背腹軸決定機構
両生類の成体は複雑なかたちを持っていて、前後・背腹・左右の三つの体軸を備えている。これら三体軸は、すでに受精直後に決定している。前後方向は、受精前から存在する動物極-植物極の方向である。(あとで細胞の移動が起こるので厳密な一致ではないが)背腹軸は、受精前には決まっていないが、受精直後の卵表層の内部細胞質のコアに対する回転によって決まる。表層が重力方向に対して持ち上がる側(もしくは、細胞質コアが下がる側)が将来の背側であり、こちらから背側の軸構造形成の中心となる体節の中央部分・脊索・脳・脊髄がつくられる。
受精直後に紫外線を卵の植物極側に照射すると、表層の回転を抑えることができる。そのような卵では、背側が決まらず、細胞分裂は続けるが、丸まったままの背側軸構造を欠いた胚となってしまう。このような胚でも、卵を傾けて、人為的に表層の回転と同じような細胞質の再配置を起こしてやると、背側の構造を回復し、場合によっては正常な一匹のオタマジャクシになり、変態してカエルになる。
本研究では、受精直後に活性化されて、背側を決める背側決定因子の精製を行い、背側決定因子による背側の決定機構の解明を目的としている。
二次軸を形成したアフリカツメガエル尾芽胚
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