第71号
平成20年 3月31日
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学長随想
世の移り
福岡女子大学学長
高木 誠
本学が公立大学法人に衣替えしたのは2年前である。そして本学はまた変化のときを迎えようとしている。去る2月にまとめられた福岡女子大学改革検討委員会の提言である。
日経新聞がコラムで、「主婦の友」が近々姿を消すことを報じた。世の移りを思うなか、目に留まった。
この婦人雑誌は1917年に創刊され、そもそも、その誌名が「主婦」なる言葉を世に広めたという。当時主婦の語はなく、新聞コラムは雑誌創刊時の世相ともあわせ、翌1918年の富山の米騒動を引いている。当時の新聞報道は、「女房軍いよいよ猛(たけ)る」「女軍の一隊、米(こめ)船(ぶね)を襲ふ」と見出しに掲げた。さて時は下り1939年となる。第二次世界大戦勃発の年である。この年の3月号は、「料理や編み物の実用記事が満載のほか、売れっ子作家による10本の小説あり、従軍看護婦の殉職美談あり、加えて時の首相の特別談話あり」等の充実振りである。私の亡母は「主婦之友」をよく読んでいたので、誌名には母の姿が重なる。
コラムは廃刊の背景を論じて現在の主婦像の多様化を指摘し、「時代」にこの「生活雑誌」が追随できなかったとしている。しかし生活雑誌が衰退したわけでは全くない。女性を主な読者とする生活雑誌は、ファッション・旅行・料理・園芸・文芸・芸術・文化等にわたり、画報は華やかにいま隆盛を極めているようである。
本学の前身は1923年に設置された福岡県立女子専門学校である。戦後は福岡女子大学に生まれ変わった。教育と雑誌とを並べて世の移りを言うのは不埒であるが、大学は世を支えると共に、世に支えられる存在でもある。大学人の豊かな智慧をもって世の移りを乗り切りたいものである。
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