甲斐 裕 
人間環境学部教授
(専門分野)
ゲ−ム理論・計画数学・数理経済学



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数理情報科学研究室 (人間環境学部 環境理学科)
 本研究室では商品のLCA(ライフサイクルアセスメント)の観点に基づいて、経済活動の生産から消費、廃棄に至る全過程にわたっての環境負荷の計量、評価法について研究している。現在、環境負荷の因子として特に問題となっているのはCO2であり、このため本研究室では家庭生活におけるエネルギ−消費、商品購入に伴う間接および直接CO2排出量の計量化について考察している。
CO2の直接排出量は、家庭で電気や、ガソリン等のエネルギ−を使用する際に排出される分を言い、これは使用量に直接排出係数を掛ければ得られる。ちなみに電気の直接排出係数はゼロである。
CO2の間接排出量は、家庭で使用するエネルギ−や様々な製品が、原料発掘から精製、生産過程を経て家庭に運び込まれるまでに排出される分を指す。これを計算するには、その製品の生産に使用する原料、部品の製造および、最終製造過程の全工程にわたるCO2排出計量の計算が必要であり、そのため、国内総生産部門の相互投入関係を表した産業連関表の投入計数表と各部門におけるCO2排出原単位表とを用いて計算する。
この直接排出量と間接排出量とを併せれば各家庭におけるCO2排出量をなるので、家庭での消費経済活動を記録しておけば、それを基にCO2排出量が計算できる。本研究室では現在、エネルギ−と水の使用に関するCO2排出量の計算式を提案できる段階に達したが、まだ一般の製品購入を含めたCO2排出量の計算方式の開発はこれからの課題である。
本研究室は、現在主として家庭生活におけるCO2排出量の計算に主眼をおいているが、家庭から直接的に排出されるCO2量は国内総CO2 排出量の3〜4割であり、それ以外は生産流通段階で排出されている。従って、国内全体でCO2排出量を削減するには生産段階におけるCO2排出量を減らすことが必要であり、そのためには、家庭での間接排出量を減らすことがそれにつながることになる。このことは家庭生活において直接的にエネルギ−使用を減らすばかりでなく、消費活動において間接 CO2排出量の小さい製品を購入するよう努めるなど、グリ−ン購入計画を間接CO2排出量の計算を基準として見直すことが需要と思われる。また、生産活動に関わる企業においても、CO2排出係数が小さくなるよう原材料の投入計画を見直し、CO2排出量の削減に努めることが望まれる。
国内のCO2排出削減には、家庭と産業との両方がその活動におけるCO2排出量の削減を目指すことが大切であり、そのときに排出量計算基準を提示してその活動を支援補助することが必要であり、本研究室はその計算基準作成を目指して研究を推進している。

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