センター長からの挨拶

 草 壁 克 己  
 
福岡女子大学人間環境学部教授 
(専門:生活環境循環学)  

 

 平成18年4月に福岡女子大学は県立から公立大学法人となり、産学官地域共同研究推進室は産学官地域連携センターとして、これまで以上に産学官連携を強く推進することになります。福岡女子大学の流れは教育を中心とした方向へと向かい、教員の研究活動への貢献に対する評価が低くなりつつあります。しかしながら、大学における教育と研究は車の両輪であり、片方の車輪を大きくすると車はとんでもない方向に飛び出してしまうのではないかと危惧しています。ここで話をしています研究とは、なにも最先端の研究だけを指しているわけではありません。福岡女子大学はその個性を活かした研究があり、十分な成果を挙げています。
 これまで産学官地域共同研究推進室は手探りでいろいろな活動を行ってきましたが、共同研究の実績などをみると十分な活動とはいえません。それは産側や官側の考えが大学側へ十分に伝わっていなかったのではないかと考えています。産学官地域連携センターでは、産官のご意見を伺うために定期的な会合を設けて、身のある地域貢献を行いたいと考えています。ご協力をお願いいたします。加えて、これまでの私たちの活動の多くは研究面からの社会貢献であり、理系の学部である人間環境学部の教員が活動を支えてきました。大学は研究面だけではなく、教育面からの社会貢献も必要であると考え、平成17年度から文学部人文学系のスウェン ホルスト先生と松浪 稔先生に相談員に加わっていただき、活動の幅を広げようと考えています。
 自然界では多様性が生命体の種の保存にとって重要な要因であることを示す多くの証拠が得られており、自然界では、同じ種の個体が増えて生態系が単一の種に占拠されてしまうと、種としての勢いが衰えて、場合によっては絶滅する事さえあるようです。現代社会では、大学間の競争はますます厳しくなり、多くの公立大学は大学統合を経て法人化しました。そうこうするうちに公立大学で女子大を名乗る大学は3校になってしまいました。大学運営の経済性を考えれば巨大な大学として運営するほうが得策であることはよくわかります。学生数1000人にも満たない福岡女子大学も非常に困難な時期に遭遇しています。実業界では大企業と中小企業があり、その多様性が日本の「ものづくり」を支えているのではないでしょうか。ところで大学は「大」大学だけが生き残り、「中小」大学は消えていくことで多様性は維持できるのでしょうか。小さな女子大学の存続の意味をよく考えていただきたいと思います。福岡女子大学が元気であり続けるために産学官地域連携センターは努力を惜しまずに活動を続けていきますので、ご協力のほどお願い申し上げます。

(広報No.2のあいさつ文より)

 

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