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7月26日 第3回 基礎講座 「企画書の作成 活動資金の種類と獲得」

2020年08月24日活動報告

7月26日 日曜日、基礎講座③「企画書の作成 活動資金の種類と獲得」を実施しました。ここまでの基礎講座ではグループで実践演習するにあたって必要なスキルであるワークショップデザインやファシリテーションについて学びましたが、ここからはいよいよアートマネジメントならではの学びに入ります。 
    
アートを地域の人たちの身近に引き寄せる数々のユニークな企画を実現し、現在は超高齢化社会を見据えた人と人が学び合う場や支え合うしくみづくりを展開するNPO法人ドネルモの事務局長 宮田 智史さんを講師に迎え、アートプロジェクトの実際や文化芸術と社会をつなぐ領域に必要な具体的な知識、企画を実現する上で大切なことを学びました。


 
宮田さんは2008年に東京都現代美術館で開催された川俣正「通路展」にて通路カフェラボを担当した児玉覚生さんが「美術館でビールを飲みたい」という個人の思いから始まり、1年をかけて美術館や保健所、保険会社を相手に提案や交渉を続けて、美術館の展覧会場でのビールの提供を実現した話を例に、アートマネジメントはアーティストや企画者の個人的な思いや欲求を、周囲を巻き込み、価値を提示し、現実的に交渉を重ねるなど手を尽くして実現させることと説明しました。
ともするとはぐれてしまう文化芸術と社会の間に立ってそれぞれに好ましい関わり方や状態を生み出すこと、アートをアートだけの世界に閉じ込めないで社会に結びつけること、そのための現実的な調整がアートマネジメントの役割となります。



活動の鍵となるものは関心のある人や集まる場所、専門性、ノウハウ、ビジョンなど多岐に渡りますが、その中のひとつが資金の確保です。民間非営利団体などが活動を実現、継続、発展するためにはファウンドレイジング(資金調達)が必要となります。この財源は会費や寄附金、事業収入、助成金・補助金などで、一口の金額、安定性、使途の自由度などそれぞれに性格・特徴があり、活動に合わせてどこを中心にしてバランスをとるか考える必要があります。また、助成金・補助金にも様々な種類があり、目的・テーマに合わない事業や活動は対象とならないため、自分たちに合ったものを選び申請します。申請を通すためにも、共感を得て仲間といっしょに実現に向かうためにも、どのような活動をしようとしているのかを伝わるように示さなければいけません。宮田さんの話は、自分のアイデアを具体的に相手に伝えるための企画書づくりへ続きます。





今回の講座の事前課題として「事業企画書の作成」をしていた受講生たち。まだ学びを始めたばかりで大変な作業だったかもしれませんが、それぞれの個性や思いを感じさせる企画書を提出していました。
宮田さんから企画書づくりの要素の説明を受けながら自身の企画書を見直します。タイトルと内容は合っているか。提案するに至った背景、現在の状態と望ましい状態のギャップをなぜ、いかに埋めようとしているかは明確であるか。新たな対象を想定しているのか、既存の対象に新たなアプローチをしようとしているのか。目標をどう設定し、どう成果を示すことができるのか。読む人に伝えられるように具体的なイメージを持てているか。自分の企画書に足りないものが見えてきます。


 
「伝わる企画書をつくるためには人に読んでもらって意見を聞くことが大事。豊かな学びの場となるように、お互いのために意見を言い合いましょう」。宮田さんから助言の後、今度は3人ずつのグループになって、それぞれの企画について質問や助言をし合いました。


 




「情報がまとまっていてわかりやすかったです」「映像化して発信したら参加者以外も楽しめそうだと思いました」「この地域について詳しくない者には、もう少し説明してもらいたい部分があるのですが…」。
それぞれの企画の「いいところ」「こうするといいところ」が仲間の言葉で洗い出されていきました。


受講生同士で確認し合った後は、事前に企画書に目を通していた宮田さんが丁寧なアドバイスをしていきました。



説明されると魅力的な企画でも、企画書という書類だけで十分に伝え、協力を得ていけるかどうかという観点で見ると足りないところが出てきます。解決しようとする課題について何が問題かをもっと踏み込んで書いてはどうか、なぜこの対象にこの内容で企画したのか必然性をもっと伝えられるのではないか。「せっかくの企画、実現しなくてはもったいない」と、一人ひとりに必要な言葉を与える宮田さん。


 
アートマネジメントとは何かと、その具体的な役割、そして実現に向けての方法まで。3回目の基礎講座は、受講生にとってアートと社会を結ぶ人材になるための知識と気付きを得て、自身の可能性を拡げる充実の時間となったのではないでしょうか。
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