INTERVIEW

2004年夏

イギリスで学ぶ

二人の女性に

インタヴューしました

海外で働きたいと思っている方

海外で勉強したいと思っている方

福岡女子大学の卒業生の様子を知りたい方

是非お読みください。

 

研究室紹介

(Office)

教育活動

(Education)

 

研究活動

(Research)

英国研修

 

教員一覧へ戻る

 

 

 

ケース1:海外で働く先輩

ロンドンの日系不動産に勤務する島弘子さんにインタヴュー

ストラットフォード・アポン・エイボンにて 右が彼女)                

  

島 弘子さん

プロフィール:

1998 年英文学科卒業。 ( 福岡県立 明善高校出身)

大学時代は硬式テニス部に所属、日夜テニスの練習に明け暮れる。(卒論担当の吉田先生ほか山中先生、杉山先生や大学職員の方々と放課後や土曜・日曜も練習)図書館にいるよりも、テニスコートに居る時間が長かった。

卒業後(株)ヤナセ福岡に 3 年半勤務。社内で PC のノウハウを社員へ教えた経験と英語への思いがその後の「英国留学」実現への原動力となる。

NY 同時多発テロ発生後の不安な情勢の中、 2001 年 10 月より、英国「 UIC 英語学校」に語学留学。この時期はカフェでアルバイトをしながら、得意の接客術にも磨きをかける。その後 Hammersmith & West London College Cambridge Examinations in English for Language Teachers (CEELT) の Certificate を取得。現在は、日系の不動産会社に勤務。

 

転職前の英語力と仕事内容:

学生時代は、英語雑誌の定期購読及び付録の CD を使った学習、 TOEIC 過去問題集、 NHK ラジオ講座などで勉強。 TOEIC は卒業時に 600 くらいでした。

入社 1 年目は、情報システム部内で主に SE の仕事に携わっていました。 PC のノウハウを社員(多くは課長クラス)に教授するという内容でした。学生時代の部活動のおかげで、年齢が上の方ともうまくコミュニケーションはとれていたと思います。2~3年経つと、社内のシステム入れ替えに伴い、勤務地は沖縄から東京まで、主に西日本を中心に短期の出張をこなしていくようになりました。忙しいながらも仕事にやり甲斐を感じていました。

 

転職の動機と活動方法:

仕事は楽しかったのですが、大学時代に学んだ「英語」を活かして「教育」や「英語」に関わる仕事がしたいと強く思うようになりました。ニュージーランドに 1 年間ワーキングホリデーに出る友人に連れられて、留学の個別相談会に行き、留学を現実のものとしてとらえるようになったのがきっかけです。 ヤナセに勤務しながら、留学先のリサーチ、英語の勉強という留学準備を進めました。

 

現在の仕事内容と英語の活用頻度:

ロンドンの日系不動産で受付接客-契約書作成など『販売事務』、「経理」まで幅広く仕事をこなしています。日本人社員もいますが、社員の半分以上はネイティヴスピーカー(英語が母国語)です。電話での商談もほとんど英語でおこないます。顧客の割合は 5 割程度が日本人、 2 割が英国人、 3 割が他国の人です。現在はシェアハウス内に英国人と住んでいるので日常会話もすべて「英語」です。

仕事で使う英語はカフェでアルバイトをしていた時と違って、専門用語も多く、契約にかかわる事項には、慎重かつ迅速な対応が要求されます。お客様は「怒っている人」「母語のアクセントの強い英語を話す人」など様々で、初めの頃は電話に出ても相手の言葉が聞きとれず、一層お客様を怒らせてしまったこともありました。相手の言ったことを聞き取り Spontaneous に応対できないコミュニケーションの挫折や戸惑いを繰り返しながら、同僚の接客術や仕事ぶりを参考にしつつ、日々勉強させてもらっている感じです。

 

在学生へのアドヴァイス:

在学中、もしくは卒業後キャリアアップのために留学を考えている方は、学ぶ目標を持って実行すると有意義なものになると思います。イギリスの語学学校では、先生は母国語(英語・英文学・文化)の知識に基づいて、授業を説明・展開します。大学で学んでいる事をしっかり理解し、土台を築いておくと、こちらでの授業の吸収力・理解力が確実に増すと思います。 日常生活でも、知り合った英国人がキーツをとても愛する人だったり、行きつけのパブがディケンズゆかりの場所だったりと、作家たちをごく身近に感じられることがしばしばです。それと同時に、日本の文化(文学、宗教、教育、政治)などについて深く話ができるよう、毎日アンテナをはって過ごすことも必要かと思います。

私はテニスを続けていたことで、日本での仕事でも、イギリスに来てからも、目上の方々との交流がスムーズにはかれているようです。「私にはこれ!」といった強みになるものをもてるような学生生活を送ってください。

 

*****************

さらにQuestion!

Q1 語学との出会いのきっかけは?

 大学在学中から、カナダ、アメリカ西海岸、などホームステイや短期の旅行で英語をとおして世界の人とコミュニケーションをとることに興味がありました。

Q2 あなたの英語力 UP 術は?

日本人特有の謙虚さ、も場合に応じて大切ですが、スピーキングの上達には積極的に発言すること。ネイティブの人が使う言い回しを自分でも使ってみること。出来るだけ沢山の英語に浸ること。(新聞・本を読む、ラジオを聞く)

Q3 転職前後の語学力のレヴェル教えてください。

TOEIC630(2001) - 765 ( 2003 )

Q4 なぜ語学を活かせる仕事に転職したいと思いました?

(ありきたりですが)、人と接すること、人に何かを伝えることが好きで、コミュニケーションの手段として一番利用頻度の高い英語を使ってもっと幅広い世界で働きたいと思いました。

Q5 英国で働いてよかったと思うことは?

いろんな文化が混在する人種のるつぼロンドンで沢山の国の人と出会う機会に恵まれたこと。自分が日本人であるという自己を(いい意味で)再確認できたこと。

Q6  10年後は何をしていますか?

Work permit が出れば英国で働き続けていると思います。素敵な相手が現れたら、結婚しているかもしれません。ただ...現在は恋人募集中です。(笑)

Work permit :大学卒業資格、 3 5 年の関連職種での職歴保持、年齢制限(というよりも年齢による取得条件規定の違い)もある。

 

 

インタヴュー後記

私にとってはテニス部直属の後輩である彼女の「イギリス生活報告」いかがでしたか?

英文学科の学生にとって、海外で働くということは、非常に魅力的なことだと思います。しかし、実際仕事をするとなると、現実には日本人として乗り越えないとならない様々な困難さがあり、苦労も多いようですね。だからこそ自分の可能性を信じて努力をし、そのことで働く意欲や魅力も増すのでしょう。

テニスで培った持ち前のファイトと情熱でこれからも輝きつづける彼女に、香住ヶ丘から応援エールをおくりましょう。

 

 

ケース2:海外で勉強する

レディング大学大学院で学ぶ本田真理子さんにインタビュー

 

本田真理子さん

プロフィール:

愛媛大学卒業後、(地元の高校で英語教師として1年、その後イギリスでEAPを学び、アメリカ大学院留学(コミュニケーション学修士)、東京で再び教職経験後、イギリス大学院留学(博士コース))

大学時代は 音楽(Jポップス) に没頭。 学業、大学のサークル(英語研究会)、アルバイト(塾英語講師)の傍ら、コンサートに足しげく通う。

現在、レディング大学 大学院 言語学 (音声学) 専攻博士後期課程 2年在学中

現在の研究テーマは、日本語母語話者と日本語学習者による音調の認識と産出の比較

 

大学時代の「英語勉強法」があれば教えてください。

学部の専攻が英語だったので、理論、文学、実践(英会話)の授業をバランスよく履修していました。特に、必修だった英会話の授業が勉強になりました。また、メンバーのほとんどが英語教師志望者の(所属サークル)「英語研究会」では、週に1回英文学の和訳作業をして、英文読解の訓練をしました。それ以外では特に英語の勉強はしていません。

 

現在アシスタントとして携わっていらっしゃる “APILL”の仕事 (仕事内容および英語の活用頻度) について教えてください。

APILL というのは Access Point to Independent Language Learning の略で、学生が個人で、それぞれの自分のニーズに沿って自分で勉強する場所です。

ここに来る学生(英語コース生、学部生、院生)の目的やターゲット言語は様々ですが、多くの人は、正規の授業で困らないよう英語力を伸ばしたいとか、自分の弱点を克服したいとか、数ヵ月後にその言語の国に旅行したい、など、高い目的意識を持って学習に来ています。

私の役割は、彼らの自立学習がスムーズに進むよう、様々な質問や要望に答えたり、 A.V. 機器のテクニカル・サポートをおこなうことです。一日約4時間受付に座っており、常に訪問者と英語でのコミュニケーションを取っています。学生の外国語学習に関する相談に応じたり、近況話をしたりと、とてもフレンドリーな雰囲気の学習センターです。

           

整然と並べられた外国語教材のファイル                            

ファイルの中はテキストとカセットテープ

 

 

留学前の仕事とその当時のご自分の英語力について

地元と東京の高校で英語を教えました。

日本の英語教育は読み書き中心と言われていますが、私自身は昔から音に敏感だったので、オーラル・コミュニケーションが得意でした。(最初の留学当時は TOEFL550 点程度。)

それでも、留学したら、自分の英会話力の不十分さに気付き、読み書きとオーラルのアンバランスを克服するのには時間と努力を要しました。すんなりと会話ができるようになったのは、初留学から6ヶ月ぐらい経った頃でした。

 

どうしてレディング大学を選んだのですか?

レディング大学は昔から言語学が強く、有名な教授陣が揃っていたことと、友人(日本の大学の英語教師)の勧めがあったので、決めました。

(あとは気候、地理的条件、スタンダード英語を話すエリア、というのが気に入りました。)

留学動機は、仕事をしていた頃から大学院レベルで学ぶことを希望しており、大学院に行くなら英語圏の大学、と決めていました。

英米では教員と学生との関係がとてもフレンドリーかつプロフェッショナルで、日本よりも断然自己責任で勉強できるところに憧れていました。日本の大学院について詳しくは知りませんが、今こうしてイギリスの院で学んでいることを心から幸せに思っています。

 

 

この APILL には、世界各国からの留学生が、授業を補うための「英語力」をつけるために、自習に訪れているのですが、その方たちに接して感じることはありますか?

こちらにみえる方は、英語を学び始める「初期レヴェル」の方から、次の留学先にむけてより英語をブラッシュアップさせているようなレヴェルの方までいます。初めは、使用する英語もカタコトだった方が、留学生活にも慣れ、勉強を続けるうちに「英語」に対する自信もついてきて、みるみる「別人のように(笑)」変貌をとげていくんですね。あらためて、継続は力なんだなぁと感じます。

 また一方で、留学したものの、生活や勉強のことなどの悩みを抱え、適切な解決方法を得られないまま(残念なことに)留学を途中で断念した方も見てきました。まず、困ったときは「適切な」(学内カウンセリングなどの)関係機関に相談することが必要だと思います。

また、先ほども言いましたが、された質問に対して答えられないと、自信喪失~黙り込む~相談しない~誰も話しかけない という悪循環におちいります。そういう意味でも自文化への探究心は日本にいる頃から培っておく必要があるでしょう。

 

外国への留学(短期・長期)を考えている人たちにアドヴァイスをお願いします。

「最後に何を得て帰国したいのか」をはっきりさせて留学すること。月並みですが、目標をもって望むことが最も大切だと思います。そうすればどんな困難な状況に直面しても、乗り越えることは出来るはずです。私は現在、博士号の取得を目標に努力を重ねています。

留学前も留学中も、信頼できる人のアドバイスを大切に、まっすぐ動いていれば道は必ず開けてきます。

加えて、異文化の中で勉強するわけですから、社交性・外交性が大切でしょう。留学して「日本の宗教は?」「ひなまつり?それは何?」など日本に関する説明を突然求められる場面に遭遇することが多々あります。その時に「話す力」に加え「説明する力」が必要となるわけです。ともかく積極的に、間違っていてもいいので、声を発することが求められます。 明確な目的意識と、強い意志を持って、ぜひとも留学を実現・成功させてください。

 

  修了後の進路についてお聞かせください

博士課程が修了したら、このままイギリスに残ってポスドク(博士課程修了の研究者)としてもう少し勉強して、その後帰国したいと思っています。将来は、どんな形でもいいので、外国語教育の分野に貢献できれば、と思っています。

 

インタヴュー後記: 真理子さん。凛とした第一印象の彼女に出会ったのは、大学へ行った初日のことでした。高校の先生をされたご経験もあるからか、また日本語の音韻がご専門のこともあってか、しっかり・はっきりとした口調(カツゼツ)で流暢に日本語も英語も話されます。「私、スカートしかはかないんですよォ。」ジーンズが定番のキャンパスでひときわ目立つスカート姿。 8 月末の時点ですでに、私は冬物コートを着込んでした。体感気温は「初冬」のレディングで、寒空に咲く一輪のユリ、その勇姿おみごとです!

「しっかり目標をもって学ぶ」それはありきたりですが、やはり一番大切なこと。彼女はあと 3 年はこちら(英国)で勉強を続ける予定だそうです。インタヴューの合間にも、ベールをかぶったイラン人学生がリスニングテープを聞きに来室しました。継続は力なり。私自身に一筋の光を与えてくださり、グイと背中を押されたようないい出会いでした。

おまけ:彼女が作ったブラウニー ほろ苦く美味しかったです。

 

 

 

 

                            

 

 


最終更新日 : October 23, 2004>